過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.13
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767:或る分岐点 秋美Bルート  ◆ebJORrWVuo[sage saga]
2012/09/17(月) 17:28:25.16 ID:EPEdYzB9o
 真っ直ぐと俺を見つめる櫻井。
 その視線に否が応でも心が高鳴ってしまう。
 そうか、この身体を湧きあがらせる感情は、嬉しいんだ。
 今、告白されて、身体がしびれてしまうぐらいに嬉しいんだ。
 油断したら涙が出てしまいそうなぐらいに。
 
 けど……。
 
「……ありがとう、な。俺、すっげえ、嬉しかった」

 それは心からの言葉だ。ならこの先に続く言葉は?
 頭よりも先に、心が答えを出している。
 俺は、この告白を――。
 
「すとっぷっ!」
「……へ?」
「まだ、まだだから!」
「……ええと、何が?」
「い、今のはまだ決意表明だから」

 ……決意表明?
 
「宣戦布告っていうか、これから覚悟してなさいよってとか、そんなのっ!」

 宣戦布告? 覚悟?
 
「答えはまだ要らない、けどいつか絶対貰うからっ! でもまだ要らない」
「……今はまだ?」
「そう。だって今はまだ、キミのいいそうな答え、知ってるから」
「…………」
「だからね、あたしはこれから毎日学校行って、そして沢山、キミの側で過ごす」
「……毎日学校に来てくれるのは、嬉しい、ぜ」
「うん。絶対行く。これでもかってぐらい、毎日いって皆勤賞目指す」
「今からじゃ皆勤賞は取れねーだろ」

 何を言おうとしているのか、何となく分かった。
 俺がどう答えるか、俺よりも先に櫻井は分かったのだろう。
 だから俺がその答えに自覚するよりも先に、櫻井は止めた。
 
 まだその時じゃないと。
 
「ふふん。まあ、今はこれでいーかなっ!」
「ん……」

 櫻井を見ると、差し出してきたのは包帯が巻かれてない方の手。
 そして都合よく俺の包帯が巻かれてない手なら、目的は達する事が出来る。
 
「今だけでいいから、ね?」
「……わかったよ」

 差し出された手を握れば、櫻井は頬を赤らめながら笑みを浮かべる。
 俺はそんな笑みを浮かべながら、確定されてない未来を浮かべる。
 
「じゃ、行こ? そろそろ夕飯だしさ」
「あーもうそんな時間か。麻奈実の飯、うめえから楽しみだな」
「…………」
「……いっ!」

 そう、まだ始まったばかりなのだ。
 色んな歯車が、まだ重なり合おうとしている時。
 俺が無理やり回している今の歯車の歯がいつかは欠けて。
 止まらざるを得ない時。
 
 俺は何を得て、何を失うのだろう。
 願わくば、皆が幸せになる未来を。
 
 



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