13: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/07/15(日) 23:23:30.53 ID:arZspdAto
俺は正直に話した。
例の理科の発明のことも、それから起きた事件についても。
理事長はただ黙って聞いていてくれた。
まぁさすがに媚薬の件になると、「び、媚薬!?」などと驚いていたが。
「――だから、俺が悪いんです。確かに実際にモノを作ったのは理科ですけど、提案したのは俺ですから」
「……ふむ、しかし小鷹君も本気で媚薬を作ろうなどと言ったわけではないのだろう?」
「は、はい、ちょっとふざけて……」
何だこの会話。
理事長は腕を組んで少し考え込む。
そして。
「――ふむ、まぁいいだろう」
あっさりとそんな事を言った。
「え、えぇ!?」
「君達も今回の件で十分反省したのは分かる。実は、理科君の方も私に直接出向いて謝ってきたんだ。こちらが心配になる程思いつめた様子でな。
『自分は何でもしますから、小鷹先輩だけは退学にしないでください』などと言っていたな。全部自分が悪い、とか」
「理科……」
知らなかった。
今日会った時も、そんな様子は微塵も感じなかった。
理事長は満足気に頷く。
「良い後輩ではないか。大切にすることだ。
それに、まぁ、若さ故の過ちというものはよくある。私も若い頃は隼人と一緒に…………」
そこまで言って理事長は固まる。
何か思い出してはいけないものを思い出してしまったらしい。
「あ、いや、何でもない。とにかく、若者が間違った道を歩んでしまった時は、その道を閉ざさずに導いてやるのが大人だ。
君は今回の停学が明ければ、いつも通り聖クロニカ学園の生徒だ」
そう言って微笑む理事長に。
俺は深く深く、頭を下げた。
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