34: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/07/16(月) 02:28:38.49 ID:CZnO16LJo
「ね、ねぇ三日月さん!」
クラスの子の一人。
女子の中でもかなり目立つ方の女子が夜空に話しかける。
「ひゃ、ひゃい!!」
あっ、噛んだ。
その女子はそんな夜空に驚きつつも、何事もなかったかのように続ける。いい子だ。
「えっと……三日月さんって、理科部なの?」
「あ、あぁ」
「そっか!! これありがとね、すっごく心強い!!」
「い、いや、でも簡易的なものだし……」
「十分だって! それに気持ちだけでもすっごく嬉しいし!」
「ぶ、部活で決めたことだから……」
顔を真っ赤にしてしどろもどろになっている夜空を見て、俺は微笑ましく思った。
そうだ、こうやってクラスと関わりを持っていけば、いずれ友達もできるはずだ。
そういう意味で、夜空発案の今回の活動は大成功だったと言える。
周りからは、
「三日月って、結構良い奴だったんだな……」
「私、三日月さんの事誤解してたかも……」
とか聞こえてくる。
これは大きな前進だ。
(……よし)
こうなったら俺もこの流れに乗るしかないだろう。
ここで俺も理科部の一員だという事を明かす。
そうすれば、もしかしたら俺の評判もマシになるかもしれない!
そう決心した俺は席を立って、ちょうど近くで防犯ブザーを持って何かを話している男子集団に近づく。
まず落ち着いて。そしてできるだけフレンドリーに。
俺はニコリと笑って話しかける。
「な、なぁ。実は俺も理科――――」
「ひいいいい!!!」
ビー!!!
教室中に防犯ブザーの音が鳴り響いた。
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