47: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/07/16(月) 13:36:24.29 ID:CZnO16LJo
***
結局、適当にその辺の人に使ってみようなどという、無差別で無責任な結論に落ち着いた俺達。
その後三人は一旦解散し、それぞれ誰かと会話してから理科室へ戻って来るという事になった。
考えてみれば、ただでさえコミュ力皆無な俺達が、見ず知らずの人間に話しかけるなんていうのは不可能なんじゃないか。
まぁ、友達作りのためだと思えば、それなりに実のある活動かもしれないが。
そんな事を考えて廊下を歩いていると、向こうから大所帯が現れた。
俺は大人数で楽しげに話している人達とすれ違うのは少し苦手だ。
なんだか自分が惨めになるし、すれ違った後に何か言われるんじゃないかと不安になるからだ。
そうやって、いつも通り俯いてすれ違おうと思った俺だったが、ふとその集団の中に知った顔がある事に気付いた。
金髪碧眼の美少女、理事長の娘である柏崎星奈だ。
そしてよく見るとこの集団、仲良しグループというより、どうやらお姫様とその家来という構図に近い事に気付く。
星奈以外は全員男子であり、それぞれが大人しく彼女の後ろについて歩いている。ある者は、彼女の荷物を持って。
(……はー、さすが理事長の娘)
俺はそんな事を思いながら、まぁここはわざわざ話しかける必要もないな、と何事もなくすれ違うことにする。
嘘発見器のために誰かと会話をしなければいけないのだが、さすがにこの大人数相手というのはハードルが高すぎる。
しかし。
「……げっ」
「「ひっ!!!」」
向こうが俺を見て立ち止まった。
これはかなり珍しい事だ。
俺とすれ違う人は、大体が決して俺と視線を合わせないようにしてすれ違う。
おそらく、後ろの男子達もそうやってやり過ごしたかったのだろう。
だが、星奈は俺を見て明らかに不快感を出して立ち止まった。
そんな星奈に、後ろの男子の一人がビクビクしながら話しかける。
「せ、星奈様。早く行きましょう」
「……あんたら、どっか散りなさい」
「で、ですが星奈様!」
「あたしの言う事が聞けないの? もう二度と踏んであげないわよ?」
どんな脅しだよ。
心の中で突っ込む俺だったが、
「「はい! すみませんでした!!」」
男子達は一斉にそう言うと、それぞれどこかへ走り去ってしまう。
もちろん、俺の横は通らずに、進んできた道を引き返して行ったのだが。
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