過去ログ - テッラ「困りましたねー」フィアンマ「言う程困ってもいないだろう」
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14: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2012/07/22(日) 21:40:08.93 ID:r7zvuLQA0

しばらく長いお祈りをし、やがて済ませたフィアンマは部屋から出た。
偶然にも、テッラと軽く接触する。簡単に言えば、ぶつかった。
謝罪をするでもなく、沈んだ表情で『奥』に行こうとしたフィアンマを見、テッラは声をかけようか悩んだ。
今までのパターンから考えれば、声を掛けない方が安全圏ではあるとは、知っている。
ただ、一歩踏み出す勇気が大きな変遷を、良くも悪くも呼び込む事を、テッラは理解していた。
故に、搾り出したような、しかし優しい響きを帯びた声を掛ける。

テッラ「フィアンマ」

フィアンマ「…何か、用か?」

テッラ「疲れていますか」

フィアンマ「…いや。そうでも、ないよ」

テッラ「…そうですか。では、少しだけ、私に時間を下さい」

フィアンマ「…構わんぞ。時間だけなら、有り余って困る程だからな」

皮肉気に笑って、フィアンマは小さく頷く。
二人分の足音が響いた。出たのは、外。
先ほどの強い雨ではなく、しとしとと降り続く雨。
夕方もとうに過ぎ、教皇も帰ってきた以上、大聖堂に用のある人間は居ない。
入り口近く、真っ暗な空模様を見上げ、フィアンマはため息を吐き出した。
何か、怨念にも似た何かと一緒に。

フィアンマ「………」

テッラ「………」

フィアンマ「…雨は、好きか?」

テッラ「地面が泥濘となり、歩き辛くなるので実用的には苦手ですが…神のもたらす自然の一つでもありますからねー」

フィアンマ「敬虔だな」

テッラ「ええ。神は私の標の一つですし」

フィアンマ「他にあるのか?」

テッラ「貴方ですねー」

フィアンマ「そうか」

しとしと、と雨はやまない。
段々暗くなってきた。夜が近い。


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