過去ログ - 照「清澄にも麻雀部はあるのか・・・」【咲-saki-】
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923:tell you that I love ...(8-7) ◆oeEeLVGR7U[saga]
2013/01/16(水) 00:09:54.04 ID:C9CHdplS0
-side 咲-

お姉ちゃんが壇上に立つ

「3年1組、宮永です。4日間、お疲れさまでした」

取材を受けるときのような、作った笑顔じゃなかった
いつも家で過ごしているときのような、自然体なお姉ちゃん

思えば、こういう対外的な場面でそんな表情を見るのは初めてかもしれない

「どんなに準備したって、練習したって、負けるときは負けます。けれど、勝ちたいと願わないまま勝つなんて、できません。私はそう思っています」

視線が私の方に向いているような気がした

・・・そうだね、お姉ちゃん
私は、勝ちたいって願うのを諦めてた

枯れたくなかったから・・・
だったら、造花になってしまえばいいって

水も光もいらない
誰かの水を奪うことも、誰かから光を奪われるのもイヤだったから

だったら、私は何も望まない・・・・
そうやって、±0を目指した

「このクラスで勝ちたいって気持ちはみなさんも持っていたと思いますし、ここで気持ちの多寡を争うつもりはありません。気持ちが乗らないときだってある。自分が勝ちたいと思っても、周りが邪魔をしたりするときもあると思います。気持ちを思い通りにぶつけられることの方が、稀です」

心を空っぽになんて、できるわけないのに・・・
ただ機械のように打つなんて、いつまでもそんなことを続けられるなんてできるわけないのに

「でも、それが麻雀です。4人が卓を囲めば、勝てるのは1人しかいないんですから・・・」

その1人になるために打つのが麻雀なのに
私にはそれができなかった

でも・・・・

「けれど、実際には1人で打っていても、その背中を押してくれる人、背中を守ってくれる人・・・・戻ってくるのを待ってくれている人、いろんな人の思いを背負っています」

私が失点しても、誰も私を咎めたりしなかった

±0なんて、ただの逃げ
だけど、その逃げを期待されて・・・

そしてお姉ちゃんのクラスを±0にして、それはもっと酷い逃げで・・・
でも、それでも誰も咎めたりしなかった

逃げるのに必死でその場では気づかなかったけれど・・・
みんなの思いが、重たかった。こんなに重たいだなんて思わなかった
だけどその重みは、いつか自分と同化していて・・・
この重みと同じくらいに、みんなにも勝ってほしいって思うようになって

「みんなの思いがある限り私は勝ちたいと、そう強く思っています」

この気持ちに答えなきゃって・・・

私をまた、陽の光を求めて咲く、嶺の上で揺れる花にしてくれたから

みんなから水をもらって、光を浴びて
精一杯咲きたいと、今は思うから

「またみんなと打てる機会を、私も楽しみにしています。この大会を支えてくれた生徒会の皆さんにも、大変感謝しています。今日は本当にありがとうございました」

お姉ちゃんが一歩下がって一礼すると、講堂はいっぱいの拍手に包まれた


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