過去ログ - 春香「リボンを結んで」〜オーソドックスガールズストーリー〜
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◆6VUvxtY276
[saga]
2012/08/01(水) 21:31:07.76 ID:WI1DiE0Q0
「もちろん俺も全力でサポートするが、お前のアイドルへの道のりは厳しいものになるだろう。場合によっては
千早と戦う事になるかもしれない。それでもウチのアイドルになりたいなら、明日ここに来てくれ」
俺は春香に事務所の住所が載った名刺を渡した。春香は戸惑いを隠せない様子で、おずおずとそれを受け取る。
これ以上の言葉は不要だ。俺は静かにその場から立ち上がり、駅へと向かうことにした。これから春香は深く
悩み、じっくり考えるだろう。アイドルの方針が方針だけに俺も強く勧誘できない。
「これは俺の私見だが、お前はウチの竜宮や千早や真に負けない何かを持っているみたいだ。漠然とした事しか
言えなくてプロデューサーとして情けないが、アイドルとしての実力なら気にしなくていいぞ。後はお前の
覚悟の問題だ。じゃあな」
不安気な瞳でこちらを見る春香に、俺は一言だけエールを送ってやった。こんな薄い言葉は何の気休めにも
ならないと思うが、来てくれなかったら仕方ないと簡単に諦めたくはない。しかし何となくだが、春香は
来てくれるような気がした。駅に到着するとちょうど電車が出る所だった。俺はさっさと乗り込む。
「あれ……?あいつまだあんな所で悩んでいるのか」
帰りの電車の窓から、さっきの高架下が見えた。春香はさっきと同じ場所で俺の名刺を見つめたまま、
まだそこで立ち尽くしていた。もっとポジティブな奴だと思ってたんだが、意外と思い悩んだりするのか?
「天海春香か……、明日千早に訊いてみるか」
明日千早はオフだが、どうせいつもみたいに事務所に音楽を聴きに来るだろう。春香の方は何だか
ワケありっぽいが、千早の方はそうではないかもしれない。ていうか千早友達いたのか。こんな事を言ったら
怒られそうだが。
「待ってるぞ、春香……」
彼女の姿が見えなくなるまで、俺はその姿を目でとらえていた―――――
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