過去ログ - 天井亜雄「私は、何を為すのだろうか」
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◆n7YWDDtkCQ
[saga]
2012/08/02(木) 15:26:05.51 ID:AIXfaF/70
ごろり。
寝転がった視界にはごく僅かな陰影。
左手の方にぷらりと細い紐が垂れ下がり、上に辿ると消えた明かりが映る。
隙間の空いた扉の向こうは暗い暗い闇だ。
真っ黒な拳銃の中でも特に深い銃口を思わせる。
その奥を掴もうとするように、あるいは遮るように掌を向け私は息を吐いた。
気の抜けた溜息だった。
あの日の夢はもうあまり見ない。
破裂音を最後に目醒める夢は。
銃声の後、自身は少しずつ変わってしまったと思う。
それでいてあの時の私は確かにどこかで息衝いている。
そう自覚している。
ぼすり、とベッドに落とした手は無意識に布団の端をまさぐった。
寒い。
頭まで被りこむと耳に冷気を感じなくなる。
こうしていれば暖かく、じきに夜も越せる。
かつて、こうして掻き寄せていたのは「安心」「保全」「保障」。
しかし私はそれで身を守り損ねた。
今、周りにあるものは。
私を拠って立たせているものは。
「私は……」
白衣やベッドや培養槽、それに様々な顔。
追い求める目標があり。
あるいは未だ形すら掴めない願望もあるのかもしれない。
「私は、何を為すのだろうか」
吸い寄せる眠気に任せながら、ぼんやりと思う。
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