過去ログ - 禁書目録「それはきっと、幸せだった頃の夢」
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17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 02:08:51.63 ID:OTk9gfUao
などと可愛い弟子を弄るのも気休め程度にしかならない。私は軽い頭痛を覚えていた。

それもこれも終始無言で後をついてくる神裂だ。

数ヤード後ろを歩く東洋人は鬱々とした気配を辺り構わず振り撒いていて、それがタールのようにねっとりと纏わりついて離れない。

まるで死神と歩いているような気分。
ウザいとかキモいとかそういう次元を通り越してただひたすらに暗い。
向けられているだけで気分が落ち込んでくるような濃度の視線がべっとりと背中に貼り付いているようだった。

もう片方、天使のような無邪気な視線と比較するとギャップがより一層際立つ。
ところ構わずじゃれついてくる子犬のような彼は普段は時々鬱陶しく思ってしまうのだけど、清涼飲料水のように私の心の平静を保ってくれている。

……はずなのだけれど。

「あのさぁ」

足を止め、振り返る。

「アンタ、ちょっといい加減にしてもらえない?」

私だって仮にも魔術の師だ。普段であれば弟子の前でこういう醜態は見せない。
でも、いくら必要悪の教会きっての穏健派で通っている私でも我慢の限界だった。

この子はとてもいい子だけど、私はどちらかと言えば悪い子だ。
神経を逆撫でしてくるような輩にかけてやる情けはこれっぽっちも持ち合わせていない。


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