過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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127:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 22:44:37.57 ID:4DOG5YTr0
◆No.27 Shigeki Yonemura
俺がその悲報を知ったのは、やっぱり朝のニュースだった。
いつも通り、朝ご飯を食べていたの度肝を抜いた衝撃的な内容。
「夜見山市で放火による火災発生、10人以上が死傷」
そのテロップが目に入るや否や、
俺は危うく、ご飯を喉に詰まらせるところだった。
「馬鹿もん!だから、テレビを食べながら食事するなと言っとるだろう!」
爺ちゃんの怒声が居間に響き渡る。
うちは最近では珍しい三世帯家族で、
いまだに爺ちゃんが家長として、家の中を仕切っている。
「でも爺ちゃん、俺のクラスが大変なんだよ!
頼む!もう少しだけテレビ見させてくれてもいいじゃん!」
「ダメだ。食べ終わった後に新聞でも見ろ!
だいたい、テレビばっかり見ると馬鹿になるぞ!」
そう言うと、問答無用でテレビのスイッチを消されてしまった。
するとテレビの音声の代わりに、そばで「びぇ〜っ!!!」と
甲高い泣き声が部屋中に響き渡った。
「ほらっ!お義父さんと茂樹君が大声あげるから、
この子が泣き出しちゃったじゃないですか!ああ、よしよし泣かない、泣かない」
僕と爺ちゃんは、揃って叔母さんに叱られてしまった。
叔母さんは先月女の子が生まれたばかりで、ご主人と上の子と一緒に、
家族四人で昨日から家に泊まりに来ているのだった。
僕は朝ご飯をさっさと済ませ、
いつもはテレビ番組表くらいしか見ない富山新聞に目を走らせた。
あった。2ページ目に詳しく書かれている。
無惨にも焼け落ちた建物の写真に、
恐らく千曳先生が答えただろうコメントが記されていた。
そして被害者の名前の中には・・・
「川堀・・・お前、死んじまったのかよ・・・」
俺たち運動部四人でいつもわいわいやっていた中の一人、
川堀健蔵の名前が犠牲者一覧に記されていた。
まだ実感が湧いてこない。
信じられない。いや、信じたくない。そういう気持ちがまだ強いのだろう。
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