過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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134:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 22:51:42.86 ID:4DOG5YTr0
翌々日、俺は市立病院を訪れた。
夕見ヶ丘に住んでいる俺にとっては、目の鼻の先にある所だけど、
こうして足を運ぶ機会は極めて少ない。
馬鹿は風邪を引かないというけど、
俺が馬鹿だから、ほとんどお世話にならないと言うべきなのだろうか・・・?
が、合宿で火事が起こったあの晩、俺のように軽い怪我で済んだやつも、
望月や有田のように特に怪我をしなかったやつも、
事情聴取が済むと一旦、病院で診断を受けた。
もっともあの時は、風見や赤沢が死んだショックでそれどころじゃなかったが・・・
今日来たのは俺だけじゃない。望月と見崎も一緒だ。
本来の目的は、肺の手術が無事に済んだサカキのお見舞いだ。
これであいつも気胸を再発することもない。
災厄は終わったとは言え、もしサカキの身にまでなにかあったら・・・
これ以上、大切な親友を失いたくない。
そのため、サカキの手術が成功したと聞いた時、俺は安堵して力が抜けてしまった。
望月も、そして何より見崎も、同じような気持ちだっただろう。
あと少しでサカキの病室に辿り着きそうになった時、
どう考えても、病院に似つかわしくない丸顔のおっさんとすれ違った。
俺たちの制服を見ると、そのおっさんは軽く一礼をするとそのまま去ってしまった。
いったいなんだったんだろう・・・?
部屋に付いた。病室はかなり高い階にあるため、夜見山の景色が一望できる。
サカキは、もう半袖でラフな格好だった。
「よっ!無事治ってよかったな、サカキ」
「「榊原君・・・」」
「見崎、勅使河原、望月・・・ああ、なんとか命を繋いだかな」
「ったく、縁起でもないこと言うんじゃないぜ!」
サカキによると、さっきのすれ違ったおっさんは夜見山警察署の人だったらしい。
クラスでサカキを『いないもの』にする会議をした時、
サカキは水野の姉ちゃんの事故の事情聴取を、あの時受けていたらしく、
今回も、その刑事さんから事件の顛末を聞いたのだと言う。
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