過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 21:25:10.02 ID:4DOG5YTr0

「え、マジで・・・」

「何で綾野が・・・」

ざわざわとクラスがどよめく中、風見が

「静かにして下さい!周りのクラスに聞こえますよ」

と言って、何とか場を鎮めた。

そして無記名投票が行われ、名前を記した紙切れを回収するために
歩いて回る風見に手渡した。
私は赤沢に投票した。
そもそも、万場一致で対策の中心となる赤沢が新しい委員長に決まると、
誰もが思っていただろう。
なぜ、綾野が名乗りを上げたのか、正直わからなかった。

結果は『赤沢泉美・24票 綾野彩・2票』

赤沢の圧勝だったが、綾野に2票入ったことでまたクラスがざわめき、
風見がそれを収める事態が繰り返された。
誰が綾野に票を入れたのか?
小椋は綾野の親友だが、同時に赤沢の子分的存在でもあるので考えられにくい。
わたしには見当も付かなかった。

委員長に決まった赤沢は、就任早々、対策の提案を出した。

「災厄から逃れるために、『いないもの』に決めたにも拘わらず、
今年の3年3組は、既に二人も犠牲者が出てしまいました。
そこで、『いないもの』を二人に増やしたいと考えています」

またしても教室がざわめき出すが、今度は風見が出る幕も無く、
赤沢の鋭い視線が聞いたのか、ヘビに睨まれたカエルの如く、
すぐに静まりかえった。

「『いないもの』を二人にするのは、今回が初めての試みです。
過去に前例が無いのは重々承知しています。
しかし、このまま手をこまねいて犠牲者が増えるのを黙って待つよりは、
少しでも被害を食い止めるために、具体的な対策を行うべきだと思うのです」

赤沢の説明は、立て板に水が流れるように、すらすらとしたものだった。

「と言うわけで、これについて意見のある人はいませんか?」

「はい、質問ー」

と勅使河原が尋ねた。

「で、赤沢は誰をもう一人の『いないもの』にするつもりだよ?」

すると、

「私は、榊原くんを二人目の『いないもの』にしたいと思います」

またざわめきがして、赤沢が(以下略)。
なんかいちいち説明するのもややこしくなってきたな。それはさておき、
すると、意外な人物が更に質問を重ねた。

「『いないもの』を二人にするんだったら、仲の良い二人組にした方が良くない?
例えば、キョウコと松井とか、辻井と柿沼とか」

そう言いながら、彼女は小さく手を合わせながら
わたしに「ごめんね」と謝った。
その人物はナオこと、藤巻奈緒美だった。



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