過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 22:07:22.31 ID:4DOG5YTr0
それは先月末、海水浴の数日前のこと。
私と泉美は資料を探すために、第二図書室を訪れていた。
その最中、泉美は一冊の古いアルバムを棚から出した。
ただでさえカビ臭いのに、より一層つんとした臭いを放ちながら、
泉美はある写真を見てふと呟いた。
「三神理津子・・・千曳先生、この人ってまさか・・・?」
「そうだ。私の3年3組の担任だった時の教え子の一人で、三神先生のお姉さんだ。
そして、君たちと同じクラスの榊原君のお母さんでもある」
「この人が恒一くんの・・・」
泉美は「三神先生の姉」よりも、「榊原の母親」という点に注目したようだ。
少し不快に思えたのは、この蒸し暑さとカビ臭さのせいだけではないはずだ。
「理津子君は、三神先生が3年3組の生徒だった時に、夜見山に戻り、
榊原君を生んで間もなく、産後の肥立ちが悪くて亡くなったそうだ。
・・・恐らく災厄に巻き込まれたのだろう」
「恒一くんにそんなことが・・・」
泉美が榊原に特別な感情を抱いていることは、見え見えである。
榊原に心奪われた泉美の姿を見るのに堪えられず、私は顔を背けた。
その時は泉美の想いに嫉妬ばかりしていたが、
今こうして姉さんが、榊原の母親の時と全く同じパターンで戻ってきたことを、
私は単なる偶然だとは思えなくなっている。
あり得ない事態が起こる3年3組の災いに引き寄せられて、
姉さんはわざわざこの時に帰ってきたのではないか?
そして芋づる式で泉美までも・・・
嫌だ、中尾に続いて泉美や姉さんの命まで奪われるのは絶対に嫌だ。
焦りの色が濃くなっていくのが、自分でも手に取るように分かった。
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