過去ログ - 恒一「『ある年』の3年3組の追憶」
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85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/08/06(月) 22:11:58.55 ID:4DOG5YTr0
そんな中で突然、
『ピンポンパンポーン』と今の心境に不釣り合いなチャイムが聞こえた。
「対策係から、3組の皆さんに大事なお知らせです
これからお聞かせするテープは、
15年前、途中で災厄が止まった年に残されたテープです」
話しているのは赤沢さんではない。
どこまでも冷たい杉浦さんの声だった。
ノイズが混じった男性の声は、「『死者』を死に還せ」と話していた。
そして杉浦さんは、その今年の『死者』が見崎鳴であると断言する。
その理由は、見崎さんは4歳の時に片眼をなくしたにもかかわらず、
杉浦さんが小学生の頃会った時は、両目がちゃんとあった。
この矛盾は、見崎さんが不完全な復活をしたからだという。
「今の見崎鳴は偽物です。ですから・・・殺せえええええええええ!!!」
よく考えれば、めちゃくちゃな屁理屈である。
だが、恐怖で我を見失ったぼくは、
部屋にあったモップを片手に、部屋から飛び出してしまった。
「『死者』を死に・・・」
「「「「死に還せ・・・」」」」
ぼくの声とハモるように、死に返せという言葉が重なって廊下にこだまする。
目の前にはちょうど、見崎さんの姿をした『死者(?)』がいる。
これからも恐怖に怯え続けるよりはいっそ・・・という思いもあったが、
それ以上に杉浦さんが怖かった。
あの放送を聞いても無視していれば、自分が杉浦さんに殺されるのではないか?
という、強迫観念があったからだ。
「やめなさい!!!」
という痛切な叫びが廊下に響き渡る。
見崎さんと榊原君の後ろから、いつの間にか三神先生が姿を現した。
「クラスメイトを殺すなんてダメよ!」
そう言って、ぼくたちの方に向かってくる先生に怯みながら、ぼくと川堀は
「『死者』を死に還せば、誰も死ななくなるんですよ!?」
「見崎を殺せば、災厄は止まるんです!」
と必死で反論する。
それでも否定する三神先生に、ぼくたちは
「じゃあ、『死者』は誰なんですか!?」
と訴えると、先生は凍り付いたようにびくっと震え、何も言い返せずにいる。
「ぼくは・・・死にたくないんだぁ!!!」
恐怖で頭の中は既にパンクしていた。とうに理性は吹っ飛んでいる。
ぼくは見崎さんめがけて、モップを叩きつけた。
鈍い音と共に、飛び散った血が壁にこびりつく。
見崎さん・・・?いや、彼女は榊原くんの隣で立ち尽くしている。
じゃあ、まさか・・・
頭から血を流して、崩れるように倒れたのは・・・三神先生だった。
倒れた先生の頭から出てくる血が、廊下を染め上げていく。
ぼくは・・・三神先生を殺してしまったのか?
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