2: ◆Koneko/8Oc[sage saga]
2012/08/09(木) 00:51:20.95 ID:e+vTXGbXo
今年も夏休みが中盤を過ぎてからというもの、夜は熱帯夜、昼は猛暑という日が続いていた。
誰が好き好んで炎天下の中を外へ出たいと思うんだ。しかし、俺の妹にそんな常識は通用しない。
「ダッツのラムレーズンだから。……間違ってもチョコミントなんて買って来ないでよね」
「日本の夏って言ったら麦茶で十分じゃねーか」
「つべこべ言ってないで早く買って来なさいよ。ゲームに負けたあんたが悪いんだから文句言わないの」
この先、俺を待ち受けているものと言えば、雲ひとつない青空と灼熱地獄に他ならない。
俺は己の不運を呪い、玄関に腰を下ろしたまま最後の抵抗を試みた。
背後を仰ぎ見ると、そこには両手を腰にあてがい、冷徹な眼差しで俺を見下ろす桐乃が立っていた。
「俺が熱中症で倒れたら、それはおまえのせいだかんな!」
「ずっとそこに座ってるつもりならそれでもいいけど、あんたが買って来ないうちは状況は変わんないから」
「ラムレーズンでいいんだよな!」
この世の不条理を恨んでみてもしょうがない。
気温が下がるわけでもねえし、ましてやコンビニが向こうからやって来るわけでもない。
半ば諦めにも似た気持ちでドアを開けようとしたそのとき、来客を告げるインターフォンが鳴った。
こんな暑いさなかに俺ん家に来るヤツなんて、どうせ飛込みのセールスマンくらいのもんだ。
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