過去ログ - 燈馬「おはようございます」可奈「はい、お弁当」
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163:燈可奈弁X ◆WxhrC2Qhtw[saga]
2012/09/16(日) 04:10:29.82 ID:ilAygl1s0
>>162

「いや、あの地方は現地の有力者と早くから投資していた一部の海外資本が結び付いて
軍閥と言ってもいい勢力を持っていた。軍事政権からの移行、政権与党に与えた影響力も小さくない。
まして、あの国の中でもエリート層の官僚や先進国の大資本、
世界的権威だった学者が組織的に悪質過ぎる改竄を行っていた。
あれだけの政変の後で中央政府のトップクラスに情報が届かなかったのも無理は無い、そう思う」

「実際、あの報告が公表されてからも、少なからぬ官僚があからさまに事実をねじ曲げ続けた。
指輪の権威もそれによって報告された内容もとてもそれが通じる段階ではない、
国際的に信用される対処がなければ国益を害する。
大臣やキャリア官僚の中でも言わば政府中枢の側では概ねその事を理解して懸命の対処を続けていたし
もちろん僕もその方向で内部の進言や関係機関の説得を続けていた。

その意味では、森羅による外圧は狙い通りだったんだ。
だけど、私利私欲だけじゃない、長期的な財源を確保して国庫を満たさなければならない。
それによって国民の飢えや火種を長期的に解決しなければならない。
その事を正義と信じプライオリティーを置く、
そんな真面目で職務熱心な官僚達が中枢部にも決して少なくなかった」

「分かってる。だから…」

「だから、森羅は自分の、指輪に託されたプライオリティーに従った。それでいいんだ。
事前に僕が知っていて、行動した場合、なまじ政府に発言力があるだけに
対処が必要ない事を証明するためにどんな手段が使われたか分からない。
権威ある形で国際的に公表してそれを無力化する。
国際的な監視の中で、それが存在する事を前提とせざるを得ない、そういう枷を政府に填める。
歴史的生物学的、人類共通の財産としての価値を客観的に考えるなら、
それが最もローリスクであり最善の選択肢だった。そう思う」

「分かってる、分かってる。指輪の持ち主として納得しなければならない。
そのために、想兄ちゃんも、想兄ちゃんが働いていた政府も、そこにいた人達…
それも使命だった、その使命のために本当に必要な事なら、
博物学は時には醜く、残酷なものも、そうやって歴史は、そんな事、散々…」
「素晴らしい報告だった」
「想兄ちゃん」

「皮肉でもなんでもない。読ませてもらった。
もしかしたら、森羅の内心では怒りがあったのかも知れない。
だけど、そんな事で自分を見失う程今の森羅はチャチじゃないよ。あの論文を読めば分かる。
指輪にも僕にも恥じない、歴史に残る立派な報告だった。従兄弟として心から誇りに思う。
それだけの価値があったんだ。そうじゃないと、浮かばれないだろ。だから謝ったりするな」


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