過去ログ - 燈馬「おはようございます」可奈「はい、お弁当」
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66:燈可奈弁X ◆WxhrC2Qhtw[saga]
2012/08/22(水) 15:52:52.98 ID:OWZ75a520
>>65

「あなた、いい事を言いました。
そうですね。あなたはかつて、財宝を追って日本を離れた」

その言葉に、想の笑みが曖昧なものとなる。
姫子は知っている、その結末を。そして、その前から姫子は知っていた、同じ航路を択った結末を。
最初から止める立場でも止めるつもりも無かったが、
それが男にとって、そして女にとってどういう事であるのかも。
姫子は、一杯のカクテルをオーダーする。

「江成さんはこの日本、足下の街で決して宝を諦めない」

江成姫子は海賊船の船長。
何度も大波を被り時に剣をふるい血まみれになりながらも、仲間を率いて財宝を求めて突き進む。
綺麗事なんて欠片しかない。でも、その綺麗なものを決して忘れない。

日々雑多なトラブルに埋もれ支払いに追われながらも、
それでもなんでも城を守り抜き、そして、クイーンとして最後の矜持は決して忘れない。
江成姫子がそうあり続けるという事は、
ここでほぼ氷だけのグラスに視線を落とす想の胸の奥にも、郷愁とも羨望ともつかないものを呼び起こす。

「色々な事がありました」
「そうですね」

それは、あの頃の話なのか。それとも二人がそれからくぐり抜けて来た宝探しの冒険譚なのか。
共に、割と濃い目のを持ち合わせているそんな二人が言葉少なに共感できる。
つーっとジョリー・ロジャーを飲み干した姫子が、
そのままテーブルに置かれた想のグラスも手に取りふらりと立ち上がる。
そして、カウンターから戻ると想の前に琥珀色の液体が揺れるグラスを置いた。

「そろそろお開きの頃合ですね。海賊船からラムの進呈です」
「いただきます」


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