過去ログ - 燈馬「おはようございます」可奈「はい、お弁当」
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68:燈可奈弁X ◆WxhrC2Qhtw[saga]
2012/08/22(水) 15:57:34.07 ID:OWZ75a520
>>67

姫子は、ざっ、と、水たまりを跳ねて想の前に立った。
旨い酒も苦い酒も味わって来たのだろう。少しは修羅場をくぐったつもりだった姫子よりもずっと。
あの頃から片鱗を見せていた想のスケールに相応しい程に。
そのスケールが見えるぐらいに大人になったから、
だから、再会した姫子は想を自分の船に誘わなかった。それでも、

「あなた達は、私の知る限り最高の航海士であり剣士だった。共に船にいた事を心から誇りに思える。
トラブルがあるなら江成法律事務所に来なさい。全力を尽くす」
「はい」
「水原可奈にもそう伝えなさい。いいですね」
「分かりました」

真正面からの姫子の目力に、想も真面目に応じる。
そして、共に不敵な笑みを浮かべた。

「それでは、今夜は楽しかったです」

姫子が手を振る前で、想を乗せたタクシーがその場を離れていく。

「あなたは、そういう人です。冷静で飄々として、それでいて案外人間が好きで案外親切」

 ×     ×

可奈の体が、ぎくっ、と震えた。

「だ、大丈夫」

美里に向けてそういう声が引きつっているのが分かる。
夜も更けたこの時間に、不意に玄関ドアががちゃがちゃ鳴っている。
家宅捜索、であるならばそれは終わりを意味する。

念入りに掃除をしたとは言っても、日本の鑑識技術はそれで済む程甘くはない。
想は、掃除の指示を出したとは言っても、家宅捜索の事は明確には言わなかった。
只、それはない、と言うだけで。

しかし、家宅捜索にしてはおかしい。そもそも、夜間執行自体が稀。まず合鍵を手に入れるだろうし、
わざわざ証拠隠滅の隙を与える程間抜けではない。


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