477: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/08/22(水) 22:07:52.87 ID:NPAKm2N/0
5階で手に入ったのは……
探知系ソフトウェアに映らなくなる、というツールボックスと煙幕型手りゅう弾。
そして、スタングレネードだった。
咲実は耳が人より良いため、スタングレネードを使うタイミングはよく考えなければならないだろう。
それ以外の2つは戦闘から逃走するときにおいて、非常に役に立つものだった。
「……この2つの首輪――手塚と高山が、こっちへ来ているわ!」
「向こうも、何か探知系のソフトウェアを使っているのでしょうか……?」
「そうね……さっそくだけど、使うわ――」
文香さんのPDAは首輪探知でかなり電力を消費していたため、目黒のPDAにアンチ探知ソフトウェアを導入した。
それを使ってから、彼らから離れるようにして走り出す――
――――
――
「……どうやら、こっちを見失ったようね」
1時間ほどかけて、手塚達が簡単には追いつけないくらいに距離を置くことに成功した。
ソフトウェアの使用をやめると、彼らは撒かれたことにきがついたのか、また違うプレイヤーのほうへ行ってしまった。
彼らの移動速度はかなり早かったため、もしアンチ探知ソフトウェアがなければ追いつかれていたに違いない……
「このソフトウェア、かなり便利ですね」
「えぇ、でも……危険でもあるわね」
「え……どうして、ですか?」
「このソフトウェアは私たちだけが持っているとは限らないわ」
「それはそうですけど、別に他の方が持っていても私たちが逃げる時に不利な事はありませんよ?」
「そう、そこなの――」
冷静に考えてみれば、このソフトウェアがいかに危険であるかという事が分かる。
咲実は、このソフトウェアを1つの視点でしかみることができてないのだ――
「何もこのソフトウェアは逃げるために使うだけのものじゃないの」
「……!」
咲実もようやく気が付いたのか、目を大きくしてこちらをみている。
「襲撃するために、使われる可能性だってあるわ」
目黒もさっきまでは、自分の立場がかなり優位になったと錯覚していた。
このソフトウェアがあれば、警戒はあまりしなくていい――
そう思わせるこの便利さに、冷静さを欠いていたのだ。
「このソフトウェアの存在は悪魔みたいなものね――」
悪魔の呪いにかかったままの人間は、突然見えない敵から襲われ、そして死ぬ――
「わ、私……そんなこと、全然気が付きませんでした。奈央さん、凄いですね!」
「……私だってさっき偶然気が付いただけよ」
普段から冷静に物事を考えるようにしていたことが、ここにきて役に立ったのだった――
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