829: ◆WNrWKtkPz.[saga]
2012/08/25(土) 22:10:03.72 ID:Yf/AOc980
漆山が加わってから、隊列が大きく変わった。
俺を中心にして、離れた左に漆山、右に矢幡、そして右後ろに色条、と言った感じである。
どうも漆山は俺のことを恐れているようで、できるだけ距離を取っておきたいようだった。
「ちょっと、なんで私がアンタの女なのよ……!」
矢幡が小声で聞いてくる。
「あぁん? あのまま漆山に舐め回されるようにみられるよりかはましだろうが」
「そ、それはそうだけど……」
「俺の女になるのが嫌か?」
「べ、別にそういうのはどうでも良いわけであって……!」
「じゃあ良いじゃねぇか。まあ、一応怪しまれねぇように……これからは麗佳って呼ぶからな」
「……わ、私はアンタの事名前で呼ばないわよ!」
「お前だと、いまのままの方がが自然っぽいわ」
「……ふんっ、キツイ女で悪かったわね!」
「そこまで言ってねぇよ……」
麗佳はむすっとして俺から離れていく。
そうこうしている内に、4階へ続く階段まで辿りついた。
「ん……あれは――」
ホールにいたのは見覚えのある女性――郷田だった。
「あら、梶原君久しぶりね」
「こんなところで何しているんだ?」
「ちょっと休憩してるところよ。他意はないわ」
見たところ、本当に休憩しているだけのようだった。
あの後郷田も1人で行動したのか、それとも葉月を……。
そういえば、最近になって生存者数がまた1人減少し、残り11人となったことを思い出す。
「そうかい。それじゃ、俺らは先に進みますわ」
「お互い生きて帰れるといいわね――」
最初のほうで1人で行くことを止めようとしていた郷田とは思えないほどに、いまの彼女はサバサバとしていた。
違和感を抱きながらもそのまま4階へ上った……。
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