20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]
2012/08/16(木) 09:06:26.39 ID:DeNa+wh1o
◇
――夢は夢。
唯ちゃんが私を好きだったのも、ただの夢。
紬「……うん」
電車から降りながら、思い返していた夢との決別。
あれは夢。現実では両想いなんて滅多にないし、心を操る魔法もないし、全てをなかったことにする魔法もない。
現実は、いつだって冷たい。だから私はずっとこの気持ちを押さえ込んできたんだ。
紬「………」
……唯ちゃんの「わがまま」も、ただの夢。
思い込みじゃなくて、駅の階段を下りたその場所で見た顔が、そう思い知らせてくれたんだ。
唯「あっ、ムギちゃんだ」
紬「あら唯ちゃん、おはよう」
唯「おはよ〜。キグウだねぇ」
紬「そうだねー」
いつも通りの唯ちゃん。
到底、私のことが特別好きになんて見えない唯ちゃん。
だからきっと、「好き」って伝えても、私の望む答えは返ってこない。
でも。
紬「ねぇ、唯ちゃん」
唯「んー?」
それでもいいかな、って思った。
唯ちゃんのわがままに振り回されるのが好きだから、それくらいいいかな、って思った。
そして内心、あわよくば『魔法』がかからないかな、って思った。
その『魔法』は、もちろん夢のような能力なんてないものだけど。
現実にある魔法は、とても不確実で、不安定だけど。
願わくば。
紬「あのね、わたし、唯ちゃんのことが――」
――恋の魔法を、わがままな貴女に。
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