6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]
2012/08/16(木) 07:56:05.52 ID:DeNa+wh1o
◇
――駅の改札口を抜け、階段を下りてすぐ。その目の前の道は、私と唯ちゃんの最初の接点。
念には念を入れて電車を一本早めて、私はこっそり唯ちゃんを待つ。
そして、運命の時。
唯「あっ、ムギちゃんだ」
紬「あら唯ちゃん、おはよう」
唯「おはよ〜。キグウだねぇ」
紬「そうだね〜」
電車を早めまでしたのに、私は偶然を装った。
そうした理由は一つ。なぜなら、まだ魔法はかかっていないから。夢から醒めても、今のこのやりとりは記憶に残るから。
「唯ちゃんを待ってたの」なんて思わせぶりな言葉を吐くことも出来たけど、そこ『だけ』が唯ちゃんの記憶に残るのはなんか嫌だった。
……そう、ここから先は、醒めてしまえば二度と思い出せない、意味のないただの夢。
紬「……唯ちゃん」
唯「ん? なぁに?」
紬「あのね……」
唯「うん?」
ただの夢だとわかっていても、緊張してしまう。
でも、言わないと始まらないんだ。覚悟を決めるのよ、紬!
紬「……唯ちゃん! わ、『私と付き合いなさい』!!」
言った! 言ってやった!!
唯「………」
大丈夫、魔法はかかる。ちゃんとかかる。
そうわかっていても、この瞬間はとても緊張する。
だから、やっぱりまたしてもこの沈黙の時間がとても長いものに思えた。
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