657:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/10/30(火) 16:02:40.89 ID:pNxIW9DDO
掴み上げる度に擦り抜けるように自分の手から落ちてしまう。
長年の入院生活はおおよそまともな握力を奪い去ってしまっていた。
恭介「くっそおォッ!!」
あの辛く単調なくせにきつかったリハビリとはなんだったのか、こんな時に役に立たないでいつ役に立つものなのか。
理不尽な怒りすら沸く中で、しかし恭介は諦めるつもりもなかった。
恭介「上がれ、上がれ!」
もはやその怒りすらも腕に力を込める。
今まで何一つ掴み取る事ができなかった分の思いも込めて、しがみ付いているとすら形容できそうな程の力で彼は銃を握り締めていた。
恭介「諦めない……!僕は、絶対に諦めないぞ!」
爪が剥がれた指から血がダクダクと流れる。
銃も右手もすでに血塗れだ。
でも今はそんな事すらどうでもいい、彼は力を込め続けた。
恭介「うおおおッ!」
やがて、思いは形として現れはじめた。
ゆっくりと銃が持ち上がりだしたのだ。
恭介「もっと!もっとだ!上がれぇッ……」
声がかすれる。
グリップを握り締める手からは血がしたたり落ちていく。
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