73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/08/25(土) 00:49:13.80 ID:L6DxfP1DO
そう言えば、自分の母親とは一体どうなった。 彼は考える。
当時存在した『猫狩り』。
人間が、自分の力を誇示するため、いや、自らの矮小な無力さを誤魔化すために行った猫の大量虐殺。
それに、巻き込まれたのだろうか。
自分は、母親を知らなかった。
母親と聞いて、思い出すのは真っ白な犬だった。
優しく、温かな────。
自分は、父親を知らなかった。
父親と聞いて、思い出すのは灰色の猫だった。
厳しく、真っ直ぐな────。
自分にとっての家族は、あの時出会った仲間達だった。
彼がいたから、自分は生きていた。
生きる術を、生きる力を与え、生きるという行為そのもを彼らは教えてくれた。
いや、それ以前に───
クロ「ここは?」
別に食料を求めてはいなかったが、とりあえず空腹を誤魔化す為に彼は長いこと散歩をしていた。
その内に、どこかの住宅街に迷いこんでしまったようだ。
彼にしては珍しく、考え事をしていたためだ。
ここは・・・、家?
クロ(でけーな。)
この辺の家々を見渡してみれば、これくらいの大きさは普通なのかもしれないが、やはり、桜町の築百年(だった)の家から見てみれば立派なものである。
クロ(こんだけデカい家を直すとなったら、マタタビの奴どんな顔するかね。)
「ん、誰かな?」
ビクンと身体を強張らせながら、声のした方へ顔を向けるとそこには一人の男がいた。
1002Res/761.81 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。