736:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/11/11(日) 20:19:34.74 ID:M1jF0A9DO
『心配すんなって。ちょっとメシを取ってくるだけさ』
『大丈夫さ。コイツの面倒はオレがしっかりと見るからな!』
『そんなのいらない。自分の面倒ならもう自分で見れる。オイラはそんなガキじゃねぇ!』
『へんッ、言ってろよ』
知久「……?」
それが『来た』のは突然の事であった。
目の前が真っ白になったかと思えば、微かに何か、いや誰かが見えたのだ。
影が二つに、声も二つ。
聞き覚えがあるようで、それでも確かな物もない。
まるで忘れてしまった夢を思い出そうとしているようで、それは今の自分には遠すぎる何かのような───そんな気がした。
タツヤ「パパ?ろーしたの?」
風が吹いて、そして去るように白昼夢は去り、少し不安そうにタツヤはこちらを見ている。
知久「タツヤ……大丈夫だよ。パパは平気、少しだけ夢を見たんだ」
ゆめ?とタツヤはよく分からなさそうに首を可愛らしく傾げる。
知久は、そっとその柔らかい髪を撫でた。
そして、大丈夫という自分の言葉をもう一度口の中で呟いた。
あれに悪いものは何も感じなかった。
感じたものはただ懐かしく、そして温かい。
そんな、まるで『思い出』によく似たものだった。
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