95:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/08/28(火) 00:22:56.75 ID:hRAG+XoDO
ぶっきらぼうながら質問を重ねる度に緊張が和らいだのか、目の前の子猫は饒舌になっていった。
曰く、自分は母親からここに行くように隣街からやってきた。
曰く、母親は食料の少ない街の現状を憂いての行動に出ただけで、決して悪党ではないこと。
曰く、自分にはお目付け役がおり、ここには彼と一緒に来たこと。
クロ「そいつはご苦労さんだな。」
クロのからかっているようで、その実は本気で労っているという言葉だが、子猫はその言葉を素直に受け止めたのか、誇らしげに胸を反らした。
クロ「そこまでして会いたいのか、その、なんだ?」
「ミー。」
クロ「そう、そのマザーって奴に。」
これも彼の話から、分かったこと。
どうやらこの街には、迷子になった猫や、怪我をした猫、流行り病にかかった群れを保護し、治療を行う『マザー』という人間がいるというのだ。
その人間は猫の言葉を解するため、コミュニケーションを取ることができ、トラブルを抱えた猫にとって神のように讃えられているらしい。
そんなんがいるものなのか?と首をかしげたくなるような内容だが、魔法少女や魔女がいる街である。
そんな不思議な存在がいても不思議ではないし、そもそもその『マザー』も魔法少女なのかもしれない。
クロ「んじゃ、とっととそのマザーとかいうのに会いに行きゃいいだろ?」
「ミー。」
どうやら、今そのお目付け役が、マザーの家を確認しているらしい。
ならば、そのお目付け役がここに来るまでここで待っていようとクロが思った───その時だった。
気配が変わる。明らかな変質、空間の変更を感じる。捻れと、引っ張られていく感覚。
クロ「これは、あの時の!」
そして、世界は変わった。
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