過去ログ - 女「ちょwww私の脊髄とるのwwwwwやめwwww痛いwwww」
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『コペイン』
◆k6VgDYkyGI
[saga]
2012/08/19(日) 02:35:03.67 ID:+rsVUWK9o
-Y-
ぼくは無言で皐月躑躅《さつきつつじ》の盆栽をする。
皐月の品種のひとつである千裕《ちひろ》の花径は七・五センチの中輪、標準的な一重咲きで、
そのトランペット状に広がる楕円形の五枚の花弁は乳白色を基調に紅紫《べにむらさき》の線が
細く縦に走り、中心部の蘂《しべ》から一筋の紅涙を流すだけでなく、人の内側から奔流する
飛沫の一滴を抱き留めて花弁全体がすっかり紅《くれない》染まった花冠も少なくない。
花々を下から飾るのは平たくて細長い、先の尖った披針形《ひしんけい》の並葉達で、
それらを細くしなやかに伸びた四本の役枝が力強く支えている。樹形は天へ真っ直ぐ伸びた直幹。
千裕の枝は硬く剪定鋏を用いても中々切断が容易ではない。
ぼくは額に汗の粒を浮かせながら枝を柔らかくするために鉄槌で枝を何度も叩く。その度に、
あたかも千裕が意思を有しているかのように拒否の合図を送ってくる。しかしそれでも芯を
柔らかくし切り落とし易くするために腕を高く上げ、ごつりごつり振り下ろすということを
続けていると、遂に枝はぐしゃぐしゃに潰れ外皮、維管束と基本組織が綯《な》い交《ま》ぜになった
屑肉《くずにく》になる。
ようやく充分に柔らかくなった最も先端にある小さな枝を胴切りすると、どっと樹液が流れ出す。
切り落とした傷口がヤケを起こさないようライターで炭化するまで炙っている最中、
つんざくような音が鼓膜を震わせ続ける。美しい樹形からは想像も出来ないような、
何語でもないが何語でも意味が分かる声が見目麗しい皐月躑躅《さつきつつじ》から発せられ、
見事な対照性を描く。
まだ一本目を少し処理しただけにもかかわらずぼくはすっかり疲れている。
一段落しようと整枝のための長目の針金を、太い枝全体に食い込むくらい強く巻き付けてから、
今度はそれを携帯用ガスコンロに巻き付ける。コンロの火にしっかり当たるような格好に針金を
変形させ、そして千裕がきっちりと鉢に固定されていることを確かめたぼくはツマミを回す。
かちかちかちかちかちかちかち、ぼっ。
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