過去ログ - 春香「ねぇプロデューサーさん?」
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30:3/3[saga]
2012/08/24(金) 00:32:59.18 ID:+gymnPO2o
恋人同士で食事をすることは、ごくごく普通のこと……か。
一般的に見たら普通だけど、それを経験したことのない私にはよくわからない。

あぁ……私ってやっぱり普通じゃないのかしら……。
デスクの引き出しに薄い本が入ってる事務員は普通じゃないのかしら……。
アイドル達を使ってイケナイ妄想をしてしまうのは普通じゃないのかしら……。

「小鳥さん?」

「は、はい! 何の話だったかしら?」

「だから、食事に誘うっていうのはどっちにも転がることが出来るんです」

「同僚にも……恋人にも?」

「そうです! 食事がきっかけで恋に発展すれば尚良し、もしそうならなくても
 ただ『同僚と食事に行った』だけなんだって、相手にも自分にも言い訳が出来るじゃないですか」

「う〜ん」

「同僚と食事に行って、その後ギクシャクします?」

「しない……かなぁ」

「でしょう?」

なんとなく、騙されているような気がしてならないのだけど……。
でも律子さんの言うとおり、自分に言い訳が出来るというのは良いことのような気がする。

既に私は自分の考えが何なのか分からなくなってきた。
このまま律子さんに壷や仏像や、変なサプリや絵画の購入を勧められたら、
『はい分かりました』とお金を渡してしまいそう。

「難しいことは考えないで、少しでもお近づきになれるように食事に誘ってみましょうよ」

「そ、そうね……食事に行くぐらい普通にすることなんでしょうから」

「はい」

「別に変に思われるわけないわよね」

「そうですそうです」

「よーし!女一匹音無小鳥! 一世一代の勝負なりっ!」

「……そ、そうですね」

火柱をあげ急激に燃え始めた私の情熱に圧倒されたのか、
律子さんは顔を引きつらせて笑っている。

いけないいけない……あんまり猪突猛進だと
プロデューサーさんも呆気に取られちゃうわね。

ここはそう気負わずに、自然を装って装って、装い倒していかないと!

「ありがとう律子さん! 勇気が出たわっ」

「どういたしまして」

「さて、プロデューサーさんが戻ってくるまで仕事仕事ー!!」

イスが倒れるくらい大きく伸びをしたところで、律子さんの携帯が歌いだした。

最近のはスマートフォンって言うんだったかしら?
なんてジェネレーションギャップなことを考えていると、
律子さんは小さく『春香だ』と呟きながら、そそくさと事務所から出て行った。

別にここで電話すればよかったのに……変な律子さん。


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