過去ログ - 春香「ねぇプロデューサーさん?」
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34:1/1[saga]
2012/08/24(金) 00:42:13.39 ID:+gymnPO2o
【Give me Colorge-kun】
プロデューサーさんと別れて、私は律子さんの待つコンビニへと急いだ。
そのコンビニは、事務所からはそう遠くない位置にある。
といっても普段そんなに買い物をすることはないし、ほとんど訪れたこともない。
それなのに待ち合わせ場所に使うというのは少しだけ気が引けるけど、
その埋め合わせはまた今度ということで、今日ばかりは多めに見て欲しいかな。
「あれ? 律子さんが居ない……」
一歩一歩と近づきながら、数メートル先のコンビニを見てみると。
雑誌のコーナーに一つの人影があるのに気が付いた。
遠目から見たその人の装いから、どうやらそれは店員さんのようだった。
でもその店員さんと思しき人物は、雑誌をパラパラと捲っている。
商品の陳列をするなら、本を開くことはないはずなのに……。
どうして店員さんが雑誌を手に取って読んでいるんだろう……?
多少不審に思いながら、自動ドアをくぐる。
「おっ、来たわね」
「あれ? 律子さんだったんですか!? 私てっきり………」
「どうしたの?」
店員さんだと思っていた人影は、待ち合わせをした律子さんその人だった。
青白ボーダーなんて格好をして店の中にいたら、誰だって間違えるよ。
ただでさえ律子さん、ちょっと店員さんっぽいところがあるのに。
「よし、早く行くわよ!」
「あっ! ま、待ってください!」
律子さんは握りこぶしを二つ構えてニッコリすると、身体中から音符が飛び出してきそうな、
嬉々とした笑顔を振りまきながら、弾むような足取りで駆け出していった。
その後を追ってコンビニを出る頃には、何も買わないことへの罪悪感など感じなかった。
それよりも、近しい人の恋路を観察することへの期待の方が勝るに決まっている。
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