過去ログ - 春香「ねぇプロデューサーさん?」
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2012/08/24(金) 01:29:21.71 ID:+gymnPO2o
【The Eyes of Medusa】

「さぁ……さぁさぁさぁ! おとなしくお縄を………」

「ちょ、ちょっと待ってくださいって!
 気持ちが焦るのは分かりますけど、ここはゆっくり行きましょ!!」

手をワキワキさせながら、小鳥さんが一歩、また一歩とにじり寄ってくる。
その全身から発せられる妖しげなオーラが、晴れやかな夏の日、
アスファルトから立ち昇る陽炎のように、揺らめいて見える……ような気がする。

いよいよリングコーナーまで追い詰められ、来るか猛攻ラッシュと身構えた俺だったが、
何かに気が付いた様子の小鳥さんは、急に顔を曇らせたかと思えば、
先ほど小鳥さんが口ずさんだあの歌ではないが、糸を切られた操り人形のように
腕をダラリと真下に落とし、節目がちに短く息を吐いた。

「そう……ですか」

「やっと落ち着いてくれましたか?」

「てっきり私は律子さんと春香ちゃんの二人に操られてるって思ってましたけど」

「……ん?」

「本当は三人だったんですね」

「えーっと……」

心の中が疑心暗鬼で一杯になったらしく、小鳥さんは今まで見たことの無いような
ジットリと湿り気を帯びつつも鋭く尖った上目遣いで俺を睨みつけた。

「みんなで私をドッキリにかけて、哀れな独り身女が有頂天になって
 浮かれに浮かれた馬鹿面を引っさげて小躍りする姿を見て笑ってるんですね!!」

よくまぁ息継ぎもせず、スラスラと噛まずに言葉を並べ立てることが出来るものだ。

「春香ぁー! 律子ぉー! でてこーい!!」

「ダメですって大声出しちゃ!!」

酒臭い吐息の混じった叫び声を撒き散らす小鳥さんは、
一見すると恥を捨てたように見えるが、やはりアルコールの作用によるものなのだろう。

日頃感じつつも心に仕舞い込んでいた劣等感や焦燥感が、それによって露になったのだ。

かわいそうに……好きだと言われても信じられなくなるほど恋をしたことがないのだ。
むろんそれは俺だって同じことなんだけど…………。

「ドッキリで告白するわけないでしょ?」

「だったら証明してください!」

「証明?」

「好きだっていう証拠に……だ、抱きしめてください!」

「そのくらいなら……」


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