過去ログ - 春香「ねぇプロデューサーさん?」
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2012/08/24(金) 01:55:09.74 ID:+gymnPO2o
事務所を出て最初に遭遇した信号機が赤に変わる。
俺たちを乗せた車は道路交通法を遵守するべく停車した。
春香はその信号の色に会わせるかのように会話を止め、黙り込んでしまった。
歩行者信号が点滅しだすと、またも呼応させるようにしてソワソワとし始め、
青信号になり車を発進させて数百メートル進んだところで、春香は静かに口を開いた。
「で……ですよ! プロデューサーさんに質問があるんです」
ちらりと春香を見てみると、いつぞやと同じ悪戯っ子スマイルを浮かべていた。
ということで、俺はいつぞやと同じ嫌な予感というものを感じずにはいられなかった。
「いつになったら、小鳥さんと結婚するんですか?」
「はぁ……なんだって?」
俺の感じた嫌な予感は見事に的中してしまった。
いやいや、もちろん小鳥さんと結婚したくないとか、そういう意味ではない。
むしろ結婚できたならそれはそれは素晴らしいことではあるのだが………
やはりこういうのは徐々にステップアップしていくのが良いわけで、
告白して恋人同士になりましたから、はい結婚しましょうとはならないのだ。
「早くしないと、相手にはもう時間が………」
「すとーっぷ!!」
「それは冗談ですけど、実際待ってると思いますよ?」
確かに春香の言うとおり結婚願望は強いのかもしれないが、恋人の期間も必要なものだ。
誕生日、クリスマスなど、年中様々なイベントごとが訪れてくるわけではあるが、
それを夫婦として過ごすか、恋人として過ごすかによって、ずいぶんと趣が変わってくる。
俺は恋人としての時間を積み重ねていくことが、結婚をする上で重要だと思うわけだ。
「追い追い考えていくさ」
「つまり……もっとキャッキャウフフしたいんですね?」
「ま、まぁそういうことだ」
「その気持ちは分かりますけど、なるべく早いほうがいいと思いますよ?
ほら、何にでも書いてあるじゃないですか、開封後はお早めにお召し上がりくだ………」
「すとーっぷ!!」
確かに昨晩開封し……おっと!
この場に小鳥さんが居たら、般若の面のような顔をして怒るのだろうか?
それとも老女の面のような顔をして悲しむのだろうか?
とはいえ、今頃律子に絞られているだろうから、この車内だろうが事務所だろうが、
今の小鳥さんに安息の地などは何処にも存在していないのだろう。
……などと人事のように思念しているが、事務所に戻った俺も律子に正座をさせられて、
頭の上から罵声怒号の数々を打ち水のように浴びせられること請け合いだ。
今のうちに辞世の句でも考えておこうかな…………
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