8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/24(金) 19:52:37.71 ID:NZSihzP+o
「涼? 涼!」
『黙れ。これが最後の警告だ』
悲鳴のように、涼の名前を呼んだ。だが、返事が返ってくるより前に、私の喉を何かが締め上げた。
「ぐ、が……」
苦しい、苦しい、苦しい。
なにかベルト状のものが、喉を強く締め付けている。
息ができない苦しさにもがこうとしても、縛り付けられた体は動かない。苦しみをどこにも逃すことが出来ず、舌を突き出し、声にならぬ苦鳴をあげる
ことしかできない
ふさがれているはずの視界にちかちかと赤い光が見えるようになった頃に、その締め付けは解かれた。
「げほっ! ごほ、ごふっ」
一気に喉が解放されたことで、咳き込んでしまう。
私のものとは違う咳き込む声が聞こえてくることからして、涼も同じような目にあわされていたらしい。
そう判断できるようになったのは、その咳がおさまりかけたころのこと。
『こちらの指示以外の事をすれば、即座にこのように報いを受ける。理解したかな?』
返事を期待したものではなかったのだろう。声は私たちの反応を待たずに続いた。
『さて、まずは現状を理解していただこう。君たちは、いまや私に支配されている。体は拘束され、ボタン一つで首を締め上げ、命を奪うことも可能だ』
機械で変調された声が、冷酷な事実を淡々と告げる。その内容よりも、むしろ、その声の平板さに身震いせずにはいられない。
いかに機械を通していても、動揺や感情は声から伝わる。そのはずだ。
だが、相手からはそんな様子が微塵も感じられない。つまりは、それだけ残酷なことに慣れているのだ。あるいは、元々そんなものを感じる情動に薄い
のか。
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