123:みの ◆hetalol7Bc[sage]
2012/08/28(火) 22:32:43.63 ID:bOaug2Ec0
ふと目の前に、スライド写真のように別の情景が映った。
鏡に映った、伸びかけの髪を気にかけている小さな女の子。
(ザネリ……?)
ひたすら机に向かって、ノートに文字を書く右手。
ノートを閉じれば、「ジョバンニ用」と題名が書かれている。
(ああ、おれがいつも授業で寝てるから、よく教えてもらったっけ。)
ランプに照らされた、作りかけの革細工の手袋。
(これがプレゼントか。いいもの作るじゃん。)
河原の砂に線を引いた、誰かと誰かの相合傘。
(そっか、全部このためだったんだな。)
目の前がすっと開けると、向かいの黒い座席に革の手袋が一組重ねて置いてあった。
荒れ狂う風のなか、ジョバンニは急いでそれを拾い上げて、胸にぎゅっと抱きしめた。
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