過去ログ - 勇者「時代は変わり」魔王「風と共に去りぬ」
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(石川県)
[saga]
2012/08/29(水) 12:12:39.24 ID:/Z7DQ8RU0
雑木林の間を走る道を抜ければ、なるほど、そこにはゴブリン共の大群がいるのが、遠目に見えた。
勇者中尉は双眼鏡で、曹長は伸縮型単眼鏡を伸ばして、その詳細を観察する。
人間の子供の平均的身長より僅かに大きい程度の矮躯に、
ゴツゴツした緑や茶の肌に、人間の感性には酷く醜い面相の、いかにもゴブリン然としたゴブリンの大群である。
揃いで派手な色彩の御仕着せ姿に、おおよそ――あくまで『おおよそ』でしかないが――規格が統一された装備の姿は、
間違いなく『魔帝国』の正規ゴブリン部隊の姿であった。飛び道具は無く、短めの手槍や、手斧で武装している。
――数は報告より少なく、少なくともこの場で見えるのは二百体程度であった。
農地を踏みつぶしながら進むゴブリン部隊の進む先には、人間の農民達の一団が見える。
女子供を逃がす為の時間稼ぎに出て来たのか、全員が男で、約半数が銃で武装しているようであった。
この辺りの農民には狩猟用兼自衛用に猟銃や軍から払い下げられた旧式銃の所持と使用が認められている。
それらを、各個バラバラに、散発的に撃っているのである。先程聞こえた銃声はコレであった。
曹長「ありゃイカンですな」
曹長が言う事に勇者中尉は同意する。
恐慌状態の、しかもろくに訓練されていない素人の銃撃が有効打を生む筈も無い。
銃撃の殆どは外れて明後日の方向に飛んで行ってしまっているし、中には空に向かって無意味にぶっ放しているヤツまでいる始末である。
敵も、銃撃がコッチに殆ど飛んで来ないと解っているのか、その前進は淀み無く、止まる事は無い。
勇者中尉「……コッチには敵も農民達も気付いてないみたいだな」
曹長「そのようで」
勇者中尉「よぉし――」
勇者中尉は双眼鏡を仕舞い、右拳を左掌へと打ちつけて気合を入れた。
勇者中尉「地域住民の脱出を援護する」
勇者中尉「総員、戦闘準備」
曹長「総員、戦闘準備」
曹長が、勇者中尉の指令を復唱する。
予期せぬ形での、勇者中尉『初実戦』の始まりであった。
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