558: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/09/04(火) 02:10:08.06 ID:KWWw9CIPo
夜空は微笑みを浮かべてこちらを見る。
それは自分を嘲るような、そんな悲しい表情だった。
「分かったか、小鷹。私は結局こんな女なんだ」
「夜空……」
「近頃思うんだ。こんな私がお前に相応しいのか、とな。
もちろん直そうとは思っているんだ。だけど、どうしても、ダメなんだ」
「けど、俺だって悪いだろ……そもそも夜空が傷つくような事をしなければ済む話じゃねえか」
「……他の女と話しているだけで憎むんだぞ私は」
「…………」
「受け入れてくれ、とは言わない。これは直さないといけない事だ。だが、現時点でやっぱり私はそういった状態なんだ。だから……」
夜空はここで一呼吸置いて、
「もし今の話を聞いて私を見限ったのならば、遠慮しないで拒否してくれていい。私は、小鷹の重荷にだけはなりたくないからな……」
夜空の弱々しい微笑みは、触れたら今にも壊れそうだった。
俺は、彼女にこんな顔をしてほしくない。
今すぐに夜空を心から笑わせることができるなら、俺は何だってする。
これは本当に彼女を思ってのことではないのかもしれない。
ただ俺が辛そうな夜空の顔を見たくないから、そんな自分勝手な理由なのかもしれない。
それでも、どちらにせよ。
夜空には笑っていてほしい、そう思っているのは確かなんだ。
俺は夜空を見つめて、口を開く。
俺の拙い言葉なんかでは夜空には何も響かないかもしれない。
でも、だからといって、こんな夜空を前にして何も言わないでいるなんてできるはずがない。
「>>559」
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