590: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/09/04(火) 23:05:54.52 ID:KWWw9CIPo
「俺のこと兄貴だと思っていいんだぜ?」
「え、お兄ちゃん……?」
「あぁ。俺にとってマリアは妹みたいな感じだからな。
遊びたい時はいつでも一緒に遊んでやるし、困ったときはいつでも聞いてやる」
「ほ、本当かっ!?」
「本当だ。けどその代わり、俺の言うこともちょっとは聞いてくれよ? 例えばポテチ食べ過ぎないとかさ」
「むぅ……でもシスターに出される飯はポテトサラダばかりでおいしくないのだ……」
「……そうなのか」
確かにシスターがそんなに豪勢な物をガツガツ食べているイメージはない。
やはり節制を重んじているのだろうか。
それは立派なことなのかもしれないが、子供には辛いのかもしれない。
俺は少し考えて、
「分かった、じゃあ新学期が始まったら俺が毎日弁当作ってきてやる」
「……え!? い、いいのか!?」
「あぁ。だからマリアもいい子にしてるんだぞ? あと一応ケイトには内緒な?」
「分かったのだ!!! 小鷹はワタシのためにそんな事をしてくれるなんて神か!?」
「んな大袈裟な。だから兄貴だと思っていいって言ったろ?」
「そうかっ!! ありがとうお兄ちゃん!!!」
「お、お兄ちゃん?」
そんなわけで、マリアが俺の事をお兄ちゃんと呼ぶようになった。
最初は戸惑ったが、嬉しそうにそう呼んでくるマリアは本当の妹のように可愛かった。
それからしばらく、俺とマリアは楽しく薪集めを進めていった。
***
俺とマリアが庭まで戻ってくると、そこは惨状だった。
バーベキュー用のコンロは無残に倒れており、炭なども散乱している。
そしていがみ合う二人。それを見るだけで大体の事情は分かった。
俺達を見つけた小鳩がこちらへ走ってくる。
「あ、あんちゃん!」
「あー、分かった分かった。おい何してんだよ二人とも」
「「こいつが悪い!!」」
同時にお互いを指差す二人。子供かお前ら。
俺は溜息をつくと、
「あのなぁ……せっかく俺とマリアが枝集めてきたんだからせめてまともに準備くらいしててくれよ……」
「そうなのだ!! ていうか夜空、そんなんだとお兄ちゃんに嫌わてしまうぞ!!」
「お兄ちゃん……?」
「小鷹はお兄ちゃんだからお兄ちゃんって呼ぶのだ! お兄ちゃんは優しいけど、あんまり迷惑かけると嫌われてしまうぞ」
「ッ!!」
マリアの言葉に、本気ですがるような目を向けてくる夜空。
俺は慌てて、
「い、いやいや、これくらいで嫌いになるって事はないって。とりあえずこれからでもちゃんとやってくれればいいって」
「わ、分かった!」
夜空はそう言うと、すぐにコンロを立てなおして、大急ぎで準備を始める。
そして星奈の方も、これでは自分だけ怠けているように見えるとも思ったのか、対抗して同じように作業を始めた。
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