869: ◆0WipXNi8qk[saga]
2012/09/10(月) 23:37:23.05 ID:M84WAXMro
「理科の選んだアニメはこれです!」
そう言って理科は自信満々でDVDボックスを机の上に叩きつけた。
こんな乱暴な置き方して大丈夫なのかと心配になるが、とりあえずそのタイトルを見てみる。
「『新世紀エヴァンゲリオン』……おー、名前だけなら俺も知ってる」
「いわゆる名作というやつだろう。理科がこういったものを出してくるとは意外だな」
「もちろん他にもオススメしたいものは沢山ありますよ。でもやっぱり最初はこういったお約束のものからと思いまして」
そう言いながら理科はDVDデッキを操作する。
程なくして画面が切り替わり、OPが始まった。
「ククク、この曲は我も知っているぞ」
「あぁ、つーかこれは知らない人のほうが少ないだろ。一番有名なアニソンじゃねえか?」
「そうですね。パンピーとカラオケ行っても許されるアニソンらしいです」
「え、何よ、カラオケに許される曲と許されない曲があるわけ?」
「星奈先輩、誰かとカラオケに行ったことがありますか?」
「な、ないけど……」
「理科も行ったことはないんですけど、何でもカラオケは空気が読めないと死ぬらしいです」
「えっ!?」
「何を言ってるんだお前らは……」
何だか意味不明なことを話し始めた二人に、俺は溜息をつく。
他の学校に居た時にカラオケには何度か行ったことはあるが、そんな恐ろしいものではない。
まぁ、確かに周りの空気というものはかなり気を使うが。
そんな事を話している内にOPが終わっていよいよ本編が始まる。
舞台は2015年。
「3年後だな」
「時の流れというのも早いものですねぇ」
「お前はオッサンか」
場面は次々と移っていく。
使徒とか呼ばれている何かでかい怪物みたいなのが街を襲っていて、それを止める為にエヴァというものを使うという話になる。
そしてそのパイロットとして主人公が選ばれる、そんな展開になった。
ネルフとかいう凄い組織の偉い人っぽいのが主人公の父親らしく、顔色一つ変えずに実の息子に化物と戦えと言っている。
しまいには近くに居る面倒見の良さそうなお姉さん……ミサトさんとかいう人まで乗れと無茶な事を言ってきている。
「……なぁ、この主人公って何歳なんだ?」
「14歳、中2ですね」
「中学生にこんな大人がよってたかって今から命がけで化物と戦えって酷くねえか?」
「まぁ、人類の危機ですし仕方ないでしょう」
「そういうもんなのかなぁ……」
「まぁヘタレな小鷹じゃ乗れないかもしれないわね」
「なっ、お、俺は乗るぞ! たぶん」
口ではそう言ったが、正直それはかなり怪しい。
たとえ全人類のためとはいえ、いきなり命がけで戦えと言われて素直に頷くことができるのはフィクションの中の存在くらいだと思う。
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