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128:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/10(月) 23:44:01.99 ID:Rc4G2L0yo

「ねえ明日香」

「あんたが聞いて欲しくないっていうならしつこくは聞かないけどさ」
 叔母さんがあたしを見て言った。「さっきあんた、奈緒ちゃんと奈緒人君が一緒に歩い
てたって言ってたけど、何かの見間違えじゃないの」

「間違いないよ」

 あたしだって見間違えならよほどその方がいい。でもあれは奈緒だった。叔母さんには
話していないけど、あたしはイイダたちに脅かされている奈緒を身近で見ていたのだ。あ
の時の奈緒の顔はよく覚えている。あたしが奈緒を見間違えるはずはない。

「だとするとだ」
 叔母さんが少し真剣に考え込んだ。「奈緒と奈緒人の兄妹がいったい今頃になって何で
一緒にいたんだという話になるね」

 やはり叔母さんを誤魔化すのは無理だった。ファッションとかへのアドバイスと、昔叔
母さんから聞いたパパとママの馴れ初めの話をもう少し詳しく聞くつもりだったのだけど、
奈緒が兄貴と一緒に歩いていたことを打ち明けてしまったのが失敗だった。

 当然なのかもしれないけど叔母の興味は完全にそちらに映ってしまったのだ。でも叔母
はそのことをどう解釈するだろう。

 あたしの最初の目論見とは違ってしまったけど、あたしは叔母がどう考えるかを聞きた
くなっていた。

「叔母さんはどう思う?」

「まあ普通に考えれば幼い頃に引き裂かれた仲の良かった兄妹の再会かな」

「それはないよ。兄貴は自分に本当の妹がいることなんか覚えていないんだし」

「奈緒人君はそうでも奈緒ちゃんは?」

「え」

「そういやこのことをあんたに話すのは初めてだったね」
 叔母さんは真面目な顔になってあたしに言った。「あんまり話しちゃうとあたしが姉さ
んに怒られるんだけどさ」

「ママには黙っているから教えて。お願い叔母さん」

 叔母さんはため息をついた。

「さっき離婚調停の話をしたでしょ? その時に決まった条件の一つにあんたの今のパパ
の結城さんは一年間で二回まで奈緒ちゃんと面会できるという条件があるのよ」

 それはあたしには初耳の話だった。それではパパは今まであたしと兄貴には黙って奈緒
と会っていたのだ。


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