過去ログ - ビッチ
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129:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/10(月) 23:45:28.18 ID:Rc4G2L0yo

「さっき離婚調停で結城と鈴木の家族が一同に会したと言ったでしょ? 普通ならそんな
ことありえないのよ。離婚ていうのは夫婦間の問題だからさ。でもあんたの両親たちの問
題はちょっと複雑だったの」

 あたしが両親の離婚と再婚に関するそういう細かい話を聞かされるのは初めてだった。
もちろんパパもママもそういう話はしないし、以前叔母さんから聞いていたのももっとざ
っくりとした話だったから。

「奈緒人君と奈緒ちゃんの両親の離婚の原因は直接的には奥さんの浮気が原因なの。でも
そのことは前にも話したよね」

「うん」

「たださ、離婚の協議が長びいているうちに結城さんにも好きな人ができたの。それが姉
さんなんだけどね」

 それは初めて聞く話だった。

「まあそういうこともあって結構泥沼になっちゃってね。家庭裁判所に調停を申し立てる
ような状況にまでなったのさ」

「・・・・・・うん」

「経済面ではもうお互いに納得していたけど、残っているのは奈緒ちゃんと奈緒人君の親
権の取りあいだった」

「結城さんも奈緒ちゃんたちのお母さんも自分が子どもたちを引き取って育てると主張し
て譲らなかった」

「結城さんにも奥さんにもどちらにも経済的には子育ての余裕は十分にあったし、双方と
もに再婚予定の相手がいて子育てできる環境にあったことも、家裁の調停員を悩ませたみ
たいね。
 結局調停の内容はお互いに一人づつ子どもを引き取るということだった。付帯条件とし
てお互いに引き取れなかった子どもに一年間で二回以内に面会できることっていうことに
なったの」

 これは初めて聞く話だった。それでは再婚以来毎年二回、パパは奈緒と会っていたのだ。

「だから奈緒ちゃんが自分のお兄さんのことを結城さんから聞かされていても不思議はな
いのよ」
 叔母さんは締めくくった。「奈緒人君のことを毎年結城さんから聞かされていた奈緒ち
ゃんが実のお兄さんに会ってみたい思ってもそれは普通のことでしょ」

 そうかもしれない。叔母さんが言うように奈緒が自分から引き剥がされた兄貴に会って
話してみたいと思っても不思議はないのかもしれない。

 その時あたしは、あの豪雨の朝兄貴に寄り添って一つの傘の下で無言で歩いていた奈緒
の姿を思い出した。やはり勘違いではない。あれは単なる兄妹の距離感ではない。奈緒は
あの時間違いなく兄貴を誘惑しようとしていたのだ。その清楚で可愛らしい容姿を武器に
して。

 恋愛脳とかって思われるかもしれないけど女のあたしにはわかった。あれは叔母さんが
言うように離れ離れになった兄妹の再会とは絶対に雰囲気が違っていた。


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