145:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/16(日) 00:53:11.74 ID:g/BzIvsyo
兄友と女さんとの待ち合わせ場所は隣駅の駅前のカラオケだった。いろいろと揉めたせ
いで余裕があったはずの待ち合わせ時間にぎりぎりなタイミングになってしまった。
仲直りしてからのナオは電車の中でいつもより僕に密着しているようだった。
「本当にあたしのこと嫌いになってない?」
僕に抱きついたまま席に座ったナオが小さな声で言った。
「なってない」
僕はそう言ってナオの肩を抱く手に力を込めた。いつもの僕と違って周囲の人たちの好
奇心に溢れた視線は気にならなかった。その時唯一気にしていたのはどうしたら僕がもう
気にしていないということをナオに信じてもらえるかだけだった。
「・・・・・うん」
ナオが僕の胸に顔をうずめるようにしながら小さくうなずいた。彼女にも周りの視線を
気にする余裕はないようだった。でもこれでナオと仲直りできたのだ。
「もう泣かないで」
「うん」
やっとナオは顔を上げて泣き笑いのような表情を見せた。
数駅先の繁華街にあるカラオケに着く頃にはナオは元気を取り戻していった。
「ここで遊ぼうって言われてるんだけどカラオケとか平気?」
何せ富士峰のしかもまだ中学生なのだから僕は念のために聞いた。
「大丈夫です。お友だちと何度か入ったこともありますし」
「よかった。じゃあ行こう」
「はい」
兄友と女さんはもうカラオケのフロントで僕たちを待っていた。
「ようナオト」
「ナオト君こっちだよ」
「やあ」
「こんにちは」
「ナオちゃんも今日は〜」
「じゃあ行こうぜ。俺が受け付けしてくるよ。とりあえず二時間でいいな」
兄友がチェックインするために受付のカウンターの方に向かって言った。
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