146:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/09/16(日) 00:53:43.24 ID:g/BzIvsyo
クリスマスの後の昼間のせいかすぐに待たずに個室に案内された僕たち十人以上は座れ
そうなボックスを見て戸惑った。
「どう座ろうか」
やたら広い室内を見ながら女さんが言った。「これは広すぎるよね」
「まあ狭いよりいいじゃん。適当に座ろうぜ」
「ナオちゃん一緒に座ろう」
女さんがナオの手を引いてモニターの正面のソファの方にナオを連れて行った。ナオは
手を引かれながら何か言いたげにちらりと僕の方を見た。
「じゃあ俺たちはこっちに座ろうぜ」
兄友が言った。
僕の方を見ていたナオの視線が脳裏に浮かんだ。僕はもう迷わずナオの隣に腰掛けた。
ナオは微笑んで僕の手を握ってくれたけどもちろんそれは兄友や女さんにも気がつかれて
いただろう。
「何だよ。こっち側に座るの俺だけかよ」
兄友がぶつぶつ言った。「何でお前ら三人だけ並んで座ってるんだよ」
「じゃあ、あんたもこっち座れば」
女さんが自分の隣の席を叩いて見せた。「ここおいでよ」
「何でこんなに広いのに片側にくっついて座らなきゃいけないんだよ」
兄友は文句を言いながらも女さんの隣に納まった。
確かに広い部屋の片隅で身を寄せ合っている姿は傍から見て滑稽だったろう。でも僕は
多分ナオの期待に応えたのだ。僕は隣に座っているナオを見た。ナオもすぐに僕の視線に
気が付いたのかこちらを見上げて笑ってくれた。
これなら今日はナオと色々話せそうだった。
ところがしばらくするとそれは甘い考えだったことがわかった。
曲が入っているときは話などまともにできなかったし、曲の合間は女さんと兄友が好奇
心に溢れた様子でひっきりなしにナオに話しかけていたからだ。
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