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17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/08/29(水) 23:22:11.77 ID:ogCHSW01o

 兄友に義理の妹の話を持ち出されて僕は思わず真面目に答えてしまったけど、妹の態
度については昔からなので僕はそのことについては半ば諦めていた。

 妹とのことは別に今に始ったことではない。僕にはどこかで僕とは無縁に生活してい
るはずの実の母親の記憶はないし、物心ついた頃から僕は今の家族と一緒に生活してき
たのだ。だから僕は母さんが自分の本当の母親ではないなんて考えたこともなかった。

 そして去年のある夜。僕と妹が両親に呼ばれて初めて事実を告げられた日、僕はその
時に自分の本当の母親が他にいることを知って動揺したのだけど、妹はその時もその後
も別にたいして悩んでいる様子はなかった。

 きっと妹は前から知っていたのではないか。僕と妹が本当の兄妹ではないことを。

 普通に考えれば両親が再婚した時、妹は僕以上に幼かったのだから彼女が真実を覚え
ていることは考えられないけど、きっと親戚か誰かに聞いていたに違いない。

 だから去年両親から僕たちが本当の兄妹ではないことを知らされたそれ以前から、妹
は僕のことを嫌っていたのだろう。再婚に反対してではなく、多分実の兄妹なら許せる
ことでも、赤の他人である僕の優柔不断な性格が妹の気に触っていたのかもしれない。

 でもそのことは去年から考えつくしていたことだったし、授業に集中できない僕がそ
の日一日中考えていたのは妹のことではなくて、今朝出会った少女のことだった。

 ほんの一瞬だけ僕の人生に現われた少女。でも僕と彼女の関わりはその一瞬だけだ。
彼女のこの先の人生に登場する人物の中に僕の名前はないのだ。そしてもう二度と僕は
彼女と会うことはないだろうし、たとえ偶然に出会ったとしても無視されるかせいぜい
黙って会釈されるかだろう。

 そんな自虐的な考えを僕はその日一日中繰り返していたのだった。

 授業が終わり部活に行こうとしている兄友に別れを告げると僕は学校を出た。校門の
外に出た時、兄友が今日持ってきてくれるはずのゲームソフトを受け取っていないこと
に気がついたけど、それはもう後の祭りだった。


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