246:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/02(火) 00:21:43.24 ID:HzCbppwJo
「本当言うとわからない」
泣いているあたしを見た有希は真面目な声で言った。
「わからないって?」
「有希ちゃんがナオトさんのことを好きな気持ちには嘘はないと思う。だけど奈緒ちゃん
にとってピアニストになりたいっていう気持ちはすごく大切で真面目な気持ちだから。そ
うでなければあんなにピアノ一筋の生活なんてできないと思う」
「じゃあ・・・・・・」
「うん。断言はできないけど、この先ナオトさんとピアニストとしての将来を天秤にかけ
る日が来たら奈緒ちゃんはピアノを選ぶかもしれないね」
「そうか」
「あ、でも本人がそう言ってたわけじゃないからね。あたしが何となく想像しただけのこ
とだからあまり真に受けないで」
「よし決めた」
あたしは有希の顔を真っ直ぐに見つめた。「あたしは有希を応援する」
「・・・・・・何の話かわかんないよ」
「わかってるんでしょ本当は。あんた兄貴のこと好きでしょ」
有希の顔がこれまでで一番赤くなった。そして赤い顔のままで狼狽したように必死であ
たしに釈明しようとした。
「だからナオトさんは奈緒ちゃんの彼氏で・・・・・・」
「そんなこと聞いてないよ。好きなんでしょ? 兄貴が」
あたしは繰り返した。有希は俯いて黙ってしまった。
「よけいなお節介かもしれないけど、あたしは兄貴が不幸になるような恋なんか絶対に応
援なんかしない。ブラコンだって馬鹿にしてくれてもいいよ。でもあたしは兄貴を不幸に
はさせたくないの」
「明日香・・・・・・」
「あたし有希のこと大好きだし兄貴のことはもっと好き。だから有希が兄貴のことが少し
でも気になるなら、あんたが断ってもあんたと兄貴のこと勝手に応援させてもらうから」
その時有希が顔を上げて真っ直ぐにあたしを見た。その表情はもう照れているような
赤みはなく、むしろ真っ青な表情に近かった。
「・・・・・・もし仮にそうなったら奈緒ちゃんはすごく傷付くと思うけど」
「わかってる。何度も言わせないで。あたしにとって一番大切なのは兄貴だけ。あと次に
有希のことが大事」
あたしは有希を見つめた。
「兄貴のことが好き?」
有希はしばらくしてついにゆっくりとうなずいた。俯いたままだったので有希の表情は
わからなかったけど。
「・・・・・・ナオトさんのことが好き」
有希は俯いたままで泣き出した。
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