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252:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/03(水) 00:15:22.96 ID:RgkJGLofo

 お互いに年内最後の登校日だった朝、冬休の予定を聞いた僕に対してナオは俯きながら
休み中は会えないのだと言った。その時は時間がなかった。もうすぐ僕の学校の最寄り
駅に電車が到着するタイミングだったから。

 確かに一瞬ナオに会えないと言われたとき僕はナオに振られたのかと思ったけれど、駅
に着く前の短い時間でピアノのレッスンの過密な予定を説明された。それで僕は、ナオと
別れる直前に気にしなくていいよとナオに言うことができたのだ。あとピアノ教室に迎え
に行ってもいいのかとも。

 それでもナオは僕の誘いを断ったことを気にしていたのだろう。今日は午前中で授業が
終ったので最後まで部活がある兄友を残して、女さんと二人で学校を出ようとした時にナ
オのメールが届いたのだ。

 朝の会話でもだいたい事情はわかっていたのでナオに対して含むところなんか何もなか
ったのだけど、僕の誘いを断ったことに対してナオは随分気にしていたようだった。

 女さんの好奇の視線を無視して帰りの電車内で僕はそのメールを読んだ。そして再びそ
んなに気にしなくていいこと、もちろんこんなことで僕がナオのことを嫌いになるなんて
あり得ないという返事をした。でも彼女からは返事はなかった。多分、もうあの教室でピ
アノのレッスンに集中していたのかもしれない。

 ナオのメールは僕をますますナオのことを好きにさせるだけの効果しかなかった。普段
の土曜日の午後のようにピアノ教室に迎えに行くことさえ断られたのは、正直少しショッ
クだったけど。

 こうして冬休の間僕はナオに会えないことを知った。ナオのピアノに対する情熱とその
ために費やさなければならない時間を思い知った僕はナオを恨むどころか、それだけの過
密な日程をこなさなければならない彼女が、それでも僕に対して気を遣ってくれているこ
とに心温まるような気持ちを抱いた。

 僕とピアノとどっちを選ぶのかなんていう感想を僕が抱くわけがない。むしろこれほど
まで情熱を傾けているピアノの練習を邪魔しようとした僕に対してここまでナオが気にし
てくれていることが嬉しかった。

 事実としては長い休み期間中、僕はナオと会えないということだ。自分の勝手な妄想の
中では二人で休日デートをしたり初詣でに行ったりする予定だったのだけど、それは全て
実現しないことになったのだ。

 孤独な休暇期間なんて今に始まったことではない。一人でも僕にはすることはある。新
学期に備えて勉強をしておくと後が楽だし、コンプしていないストラテジーゲームもパソ
コンの中に放置してある。

 要するにいつもと同じ冬休を過ごせばいいのだ。寂しいけどナオには寝る前にメールを
するようにしよう。

 でも、意外なことに僕の冬休は忙しいものとなった。明日香とユキが常に僕のそばにい
るようになったのだ。


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