253:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/03(水) 00:16:59.54 ID:RgkJGLofo
「起きて・・・・・・。もう十二時になるよ。ナオトさん早く起きて」
耳元で女の子の柔らかい声が響いていた。今まではアニメの中でしか起こるわけがない
と考えていたシチュエーションがリアルでも毎日起こることに、この頃になると僕はだい
ぶ慣れてきていた。何しろ明日香がいい妹宣言をした日以降、ほぼ毎日妹は僕の部屋に勝
手に侵入して僕を起こそうとするのだ。それも冬休に入ってからはその行為はだんだんエ
スカレートして、とりあえず僕に声をかけた後、勝手に僕の隣に潜り込んで二度寝するよ
うにすらなっていた。
こんなことはナオには言えない。でもそんな明日香を拒もうとは思わなかった。仲が悪
かった兄妹が、僕を毛嫌いしていた明日香が僕に心を許し始めていたのだから。
それでもその朝、僕を起こそうとするその声には少し違和感を感じた。最近の明日香な
らとりあえず僕に声をかけるだけで何が何でも起こそうとはしない。
それなのに今日に限って穏やかなその声は執拗に僕を起こそうとしていた。
僕は諦めて瞼を開いた。僕の部屋のベッドの前に立っていたのはユキだった。
僕はその時本気で慌てていた。何で僕の部屋にユキがいるのだ。夢を見ているのだろう
か。
「あ、やっと起きた」
ユキが顔を赤くして言った。
「え? 何々、ユキさん?」
「あ、はい」
赤くなったユキはそう言ったけどそれは何の答にもなっていない。
「ユキさん、何で僕の部屋にいるの?」
ユキは顔を赤くしたままで何かを必死で訴えようとしていたみたいだけど、結局何も言わずに
僕にルーズリーフに何かを書きなぐったメモを渡しただけだった。
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