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255:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/03(水) 00:19:52.36 ID:RgkJGLofo

「あのさ」

「はい」

「着替えようかなって思うんだけどさ」

「あ、ごめん」
 ユキはにっこりとした。「あたしはリビングに行ってるね。ナオトさんと一緒に買物しろ
って明日香に言われてるから外出する格好に着替えてね」

 それだけ言ってユキは部屋を出て行った。


 その日は結局明日香抜きでユキと二人で過ごすことになってしまった。明日香の指示は
明確だった。あいつはもともとおせち料理なんて作る気はなかったのだ。要するに出来合
いのおせち料理を買っておけということだった。

 ユキと僕は明日香の指示にしたがってデパ地下とか名店街みたいなところを回ったのだ
けど、どの店に行っても予約なしではお売りできませんと断られた。

「まあ最初からわかっていたけど」
 ユキが苦笑した。「明日香って世間知らずだよね。おせち料理なんて予約なしで買える
わけないのに」

「そうなんだ」

 世間知らずという点では僕も明日香と同類らしい。

「僕もこの時期なら普通に買えるもんだと思ってたよ」

「そんなわけないでしょ。高価な商品なんだから売れ残りのクリスマスケーキみたいに
売ってるわけないじゃん」

「ユキさんさあ・・・・・・・知ってたなら最初からそう言ってくれればよかったのに」

 ここまで明日香の指示どおり出来合いのおせち料理を入手しようとして、僕たちは相当
無駄な努力を強いられていたのだ。

「うん。最初から絶対無理だと思っていたんだけど、一応明日香に頼まれたんでさ」

「無理なら無理って、明日香に言ってくれればよかったのに」

「でもあたしにとっては無駄でもなかったから」

「どういうこと?」

「・・・・・・ナオトさんといっぱいお店を回ったりできたでしょ? まるで二人でデートして
るみたいだったし嬉しかった」

 ユキは何を言っているのだろう。妹を通じてユキとも親しくなれた僕だったけどユキに
対して恋愛感情を抱いたことは一度もない。ナオの親友であるユキだって僕がナオと相思
相愛だということはよくわかっていたはずだ。


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