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310:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/11(木) 00:16:45.42 ID:hMF93hg2o

「今日はやめておく?」
 ホームの固いベンチに僕を座らせた明日香が迷ったように言った。「お兄ちゃん、ごめ
ん。あたしちょっと急ぎすぎてたかも」

 冬の冷気が熱く火照っていた僕の顔を冷やしてくれる感じが心地いい。僕は急速にさっ
きまでのパニックから回復していくように感じた。

「おまえのせいじゃないよ。助けてくれてありがとう、明日香」

「でも、まだちょっと早かったのかも」

「いや。明日香がいてくれれば平気だよ。今だっておまえが」

 明日香がどうやって僕を正気に戻したかを改めて思い出した僕は、そこで言いよどんだ。

「・・・・・・ごめん。でも何となくああした方がいいと思ったから」

「いや。今だって明日香がああしてくれたから僕は正気に戻れたんだし。叔母さんの話を
聞くよ。それでパニックになったらまた僕のこと助けてくれるか」

 明日香はそれを聞いて赤くなったけど口調は真面目そのものだった。

「うん、安心していいよ。お兄ちゃんが楽になるならキスだって何だってするから」

「ありがとう」

「もう大丈夫?」

「ああ」

「じゃあ、お兄ちゃんがいいなら行こう」

 明日香はベンチで座っている僕に手を伸ばした。僕は迷わずに明日香の手を握って立ち
上がった。


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