330:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/15(月) 23:25:10.42 ID:p6U3xssZo
「あんたと奈緒ちゃんが結城さんと元奥さんにそれぞれ引き取られてからも、結城さんは
年に二回奈緒ちゃんと会っていたのよ」
「叔母さん!」
明日香が叔母さんの言葉を遮った。
「何よ明日香。うるさいなあ」
「いや・・・・・・大丈夫だから続けて」
僕は明日香を遮った。
その話がどういう風に展開するかはだいたい予想がついていたけど、ここまで来たら教
えてくれることなら何でも知りたい。目をつぶって耳を塞いでいてもナオを失った痛みは
消えないのだ。それなら今まで闇の中にかすんでいた記憶に灯りを当てたとしても、辛さ
にはたいして変りはないだろうと僕はその時考えたのだ。
僕は明日香の心配そうな顔を見て笑いかけた。
「叔母さんの話を聞きたいんだ。いいかな」
「だって・・・・・・。お兄ちゃん大丈夫なの?」
「おまえがいてくれるなら。多分」
「わかったよ」
明日香は諦めたように叔母さんを見た。「続けてあげて」
「じゃあ話を続けるか」
叔母さんはちらりと僕と明日香の握り合って手を眺めた。その顔にはほんの少しの間だ
け微笑みがよぎったようだった。
「何を言いたかったって言うとね、そろそろ奈緒ちゃんがどこまで知っていてどういうつ
もりであんたと付き合出だしたのということを考えてもいいんじゃないかな」
「絶対悪意があったに決まってるよ、あの子には」
「まあ最初から決め付けないで少しづつ考えていこうよ」
「うん。今はまだ何にも決め付けたくない」
僕は二人に言った。明日香がこれみよがしにため息をついてみせた。
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