333:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/15(月) 23:27:27.49 ID:p6U3xssZo
「まあ、そもそもそれが不思議なんだけどね」
「それって?」
「奈緒人。あんたは明日香が思っているほど記憶力に乏しいとか忘れっぽいとかそんなこ
とは絶対ないよ。あたしはあんたと付き合ってきているからよくわかるけど、むしろ記憶
力がないのは明日香の方だね」
「叔母さんひどいよ」
明日香がその場を茶化すように言った。その気持ちは嬉しかったけど、叔母さんも僕も
少しも笑えなかった。
「それなのに明日香さえ覚えているようなことを忘れてしまっているでしょ。幼い子ども
にとっては両親の離婚とか仲のよい妹との別離とか忘れるどころかトラウマになったって
不思議じゃないのに」
「さっき叔母さんが言っていた自衛本能みたいなやつなのかな」
「さあ。それならまだいいんだけどね」
叔母さんは大分食べ残したナポリタンの皿を押しやって左手の時計をちらりと眺めた。
「そろそろ行かないとね。あたしが話せることはこれくらいで全部だし」
「うん。忙しいのにありがとう叔母さん」
叔母さんの話を聞いたことによって少しも楽になったりはしなかったし、むしろもやも
やした感じが増幅していのだけど、それでも僕は叔母さに感謝していた。
「・・・・・・元気出せ、奈緒人。こんなことに負けるんじゃないよ。あたしも明日香もあんた
の味方だからね」
叔母さんはそう言った後に、最後に一言言って話を締めくくった。
「そろそろ結城さんと真面目に話し合った方がいいかもね。あたしより言い辛ければ奈緒
ちゃんとのことは伏せたっていいんだし」
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