402:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/10/28(日) 22:54:53.72 ID:cCVWXsHpo
「明日香、明日退院だって」
連れ立って病院から出たところで叔母さんが言った。「結城さんと姉さんから頼まれた
んで明日はあたしが明日香を迎えに行くんだけど」
「うん」
「あんたは学校だね」
叔母さんが言いたいことくらいすぐにわかった。
「妹が退院だからって先生に言うよ。明日は休んで僕も一緒に行っていい?」
「その方が明日香も喜ぶだろうな」
叔母さんが言った。「まさか目の前で明日香の一世一代のあんたへの告白を見せつけら
れるとは思わなかったけど。あの子も今度ばかりは本気みたいだね」
「叔母さんもそう思う?」
「うん思う。あんたはどうなのよ。最近明日香とはすごく仲いいみたいだけど」
「仲はいいよ」
叔母さんは少しためらってからそっと言った。
「やっぱり奈緒ちゃんのことが忘れられない?」
僕はまだ兄妹としての奈緒との再開のことを明日香にも叔母さんにも話していなかった
ことに気がついた。
「それはないんだ。叔母さんにはまた言ってなかったけど、今朝登校中に奈緒に待ち伏せ
されんだ」
「え? 奈緒ちゃんに会ったの?」
叔母さんは驚いたように言った。多分僕の精神的外傷のことを気にしてくれていたのだ
ろう。
「うん。何で会ってくれないの、嫌いになったのって」
「それだけ聞くとさ、奈緒ちゃんはやっぱりあんたが実の兄貴であることを知らないの
か」
「正確に言うと知らなかったになるんだけど」
「どういう意味よ。こんな場合なのにもったいつけるな」
「いろいろあって奈緒には僕が実の兄貴であることがばれちゃったんだ」
「マジで?」
叔母さんが驚愕して言った。
「うん、無意識のうちに僕は気がつかせるようなことを口にしちゃったらしいんだけど」
「それで? 奈緒ちゃんはショックだった?」
「それがそうでもない。むしろ引き離されていた僕と再会したことを喜んでいたよ。もう
二度と僕とは別れないって」
明日香のことで緊張していた僕だけど、その時の奈緒の表情や言葉を思い出すと胸が温
かくなっていった。恋人同士には戻れない僕たちだけど、二度と会えないと思っていた僕
らは奇跡的に再会できたのだ。
「そうか」
叔母さんが言った。「じゃあ、あんたはこれまで会えなかった実の妹の奈緒ちゃんと、
これまで妹だったけど彼女に立候補した明日香と二人を同時にゲットしたわけか」
「そんなんじゃないし」
僕は赤くなって叔母さんに言った。
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